TS爆乳魔女・文月螢


「な、なぁ、ユウマ? そろそろいいんじゃないのか? 終わったろ?」


「ダメ!! 特に今は絶対ダメ!! 目ぇ開けたら記憶消すからね!?」


「なんだよそれ!? ――と、というか、まだ終わらないって、律季のヤツどこまでヤって……」


「余計な事は考えなくていいの!」


 ――これはいったいどういう状況だろうか。

 怪物の中から全裸の爆乳美少女が現れ、律季と炎夏は高台の上で言葉もなくそれを見下ろし、ユウマは遠巻きにレンの目を抑えている。

 そしてそれが――炎夏の親友たる文月螢視の、変身した姿とあっては、混乱も極まるというものだ。


(す、スゴすぎる……あんなのレンに見せたら一生性癖歪んじゃうよ。ただでさえ天道炎夏が目の毒なのに。

 でも、アレってボクの魔法でああなったの? 未完成の術にしても、結果が斜め上すぎない?)


 「ひょっとしてうまくやれば、自分もバストアップできたりしないか……」と、性別まで変わってしまった螢視を見ながら真剣に考えるユウマ。

 一方、既にバストアップするまでもない炎夏は、高台を下りて螢視の顔を覗き込んだ。すっかり可愛い女の子になってしまった、親友の顔を。


「け、螢視ケージなの? どうして……」


「え……? って、うぉぁぁぁっ!? な、なんだよ『コレ』っ!?」


(こっちのセリフですよ。ホントなんなんですか『それ』。

 見た目だけじゃなくて、声までかわいくなっちゃってるし……)


 女体化した螢視は、昨日までの男っぽい低い声とまったく違う、甲高い可愛い声で悲鳴を上げた。ギャップ萌えが律季に直撃である。「きゃぁぁぁぁっ!」とかじゃないところが逆に『イイ』。

 『彼』の体は炎夏に比べるといくらかガッシリした印象だが、あちこちが実りまくりで、とてつもなく性欲を煽るドスケベボディをしている。セミロングのクリーム色の髪と、ミルクのようになめらかな白い肌。キラキラしたエフェクトが見えるぐらい美少女だが、睫毛が長く知的な印象を受ける顔のつくりは、いくらかもとの螢視の面影を保っている。


(うっわ、マジで見れば見るほど好み。外見だけなら炎夏さんと同じぐらいタイプだ……。

 身体とか声とかは完全に女の子なんだけど、顔はちょっとだけ原型あるのがスッゲェ興奮する……。い、一回でいいからおっぱい揉みたい……♥)


「――螢視ケージ、大丈夫? 記憶ある?」


「え、えっと……まず、ここがどこかも分からねぇ。さっきユウマの部屋に行ったところまでは覚えてるけど……」


(や、やっべぇぇぇぇ~~~~~~ッ♥♥ 意識は男だからか、さっきから体を隠そうともしない……ッ♥)


 律季は本能むき出しで、目の前に現れた女体を視姦する。中身が男なのはわかっているが見ずにいられない――否、むしろ男に戻る可能性があるからこそ、そこに在るうちに穴が開くほど見るのだ。

 実は律季は、未だ女の子の乳首を見た経験がなかった。炎夏とはエロい事を何度もしてはいるが、ブラジャーは絶対防衛ラインであった。

 それなのに、今まさに彼の目の前で、ドスケベな爆乳美少女があられもない姿をさらしている。あまりの絶景に鼻血が出そうだった。


「――ッ!! 螢視ケージ、体を隠して! 

 忘れてた! ここには水鏡くんがいるわ!!」


「ハッ! す、すみませんお二人とも! つい……!」


「うっわ! ホントに見てたの!? この変態ッ!!

『相手のこと好きじゃなきゃ興奮しない』とか言っといてぇぇ! 結局おっぱいが大きければ誰でもいいんじゃない!!」


「いやいやいや! 『誰でもいい』は断固否定しますよ! 大事なのはシチュエーションなんです!

 昔から知ってる男の先輩がこぉんな美少女になるなんて、ギャップ最高じゃないですか! 男だから浮気にもなんないし!」


「なるわよ! 適当言わないで!」


「え……? え……?」


 大声で律季をなじる炎夏の後ろで、状況についていけずおろおろする螢視。なお、まだ胸は隠していない。

 レンは相変わらずユウマに捕まえられており、「……おい、マジで何が起こってんだ?」と困惑している。律季と炎夏の言い争いはともかく、時々まったく覚えのない声がかすかに聞こえてくるためだ。


「というか、怒る前にほめてくださいよ。確かに女の子にはなってますけど、無傷で助けるって目的は果たしたでしょ?」


「『確かに』で片づけていい内容じゃないでしょ!? なんで螢視ケージが女の子になってるのよ!

 というか水鏡くん、なんでそんなに受け入れてるの!?」


「かわいい女の子はいればいるほど嬉しいですからね。一向にかまいませんよ。

 強いて感想を言うとすれば『ご都合主義っていいよね』です。――マジメな話、この小説あんまり伸びてませんからね。テコ入れの一環じゃないですか?」


「そんな理由で私の親友は女の子に!? 人をなんだと思ってるのよ!?

 ――と、というかねぇ! 螢視ケージもかわいそうだけど、私にとってもひどい仕打ちよこれは! この作品って、作中時間はひと月も経ってないけど、連載期間はかれこれ三か月以上になるのよ!? 三か月もがんばって水鏡くんのセクハラに耐えたのに、『人気出ないから大事な友達を女の子にします』って何よ!! じゃあ私は、なんのためにあんな目にあったわけ!?」

 

「その甲斐あって、前の回の反響はなかなかですよ。ハーメルンだと、これまでは増えても2つぐらいだったブクマが、いきなり一日で6つもつきましたから。(5/30夜の集計です。お気に入り登録・評価してくださった方には、作者に代わって水鏡律季と天道炎夏がお礼を申し上げます)

 ハーメルンってホントにTS強いんですね。登場しただけでこれはさすがに驚きです。カクヨムの方はどうなるんでしょう」


「いやまあ、螢視ケージを好きになってくれるのは嬉しいわよ? 読者の皆さんには感謝しても足りないわ。

 でもそれはそれとして複雑よ、私だって頑張ってるのに。……炎夏ほのかって名前、やっぱり読みづらいのかしら……?」


「――えーと……あのぉ……」


 蚊帳の外なようで、実は一番槍玉に挙げられているTS螢視が、話題についていけず困っている。

 おろおろしている様子は全裸。視線を泳がせる顔は美少女。


(うーん。これはヒロイン)


 『たぷっ♡』と揺れるおっぱいは、律季の見立てだと若干炎夏と乳肉の質が違う。炎夏の爆乳はぱっつんぱっつんで、見ているだけで乳ビンタされたくなるが、それに対し螢視の爆乳はもちもちでふわふわ。アイマスクか枕にすると天国に行けそうなおっぱいだ。ついさっき、男の胸板が変化した物とは思えないほど、母性的な魅力にあふれている。


「ちょ……ちょっと! なにやってんのさ二人して!

 いいから文月螢視に服を着せるか、夢を解除させるかしろってば!」


「あ、そうだった――ごめんね、螢視ケージ。気になることはいっぱいあるだろうけど、まずはここから出してくれない?

 こっちも聞かなきゃいけないことがあるからさ」


「お、おお……でも、出すってどうするんだ?」


(うっひょぉ!? な、並ぶとマジですげえ……!!♥)


 ――今、律季の目の前では、乳暖簾をかけただけの炎夏乳ホノカップと、完全無防備な丸出し螢視乳ケイカップが、圧倒的な存在感を放っていた。

 そしてプルプルと揺れる四つの爆乳の動きは、律季の脳に催眠術のごとく作用して、彼を危険な思考へと駆り立てる――。


(炎夏さんのおっぱいを揉める今までの日々は、俺のこれまでの人生で一番楽しかった。でももしこれから、文月先輩のも揉めるようになったら、いったいどんな幸せが手に入るんだ? 

 た、例えば――こんなことにも、なったりするのか!?)




『――ねぇ、水鏡くん♡』


『――なぁ、律季♡』




『『――お姉さんに、おいでっ♡♡♡♡』』




(う、おおおおおおお……ッ♥♥!!)




 二人にそう迫られる光景を幻視して、律季は脳天を殴られるような衝撃を味わった。

 こんなことはありえない、ただの夢だと分かっている。……でも、この世界は、おっぱいを揉めば強くなる魔法があって、昨日まで男だった人が爆乳の女の子に変わることだってある、バカみたいな世界だ。


 ――こんな世界なら、彼のバカみたいな夢も、叶っていいのではないか?

 

 『憧れの先輩と、性転換年上美少女の、爆乳おっぱいハーレム』。

 水鏡律季のような凡庸な雄が、二人の爆乳魔女を独り占めする。そんな邪悪な物語が、ひとつくらいこの世にあったとしても、誰も困らないのではないか?


(俺は困らない! 二人を自分の物にして、夢の爆乳ハーレム……ッ!! 考えただけでたまらない!!

 もしかして――『生命力の鉄拳リビドー・ナックル』は、そのためにある力なのか? ひょっとしてこれも、俺の『使命』で……)


「――おい、多分こいつろくでもないこと考えてるぞ」


「いつもの水鏡くんよ。ほうっておきなさい。

 夢の中で夢を見られるなんて、珍しい人もいたものね」


「ハッ……! ち、ちがっ……!」


 律季は現実に引き戻され、なぜだか恥ずかしくなった。炎夏の言う通り、確かにそれは夢のまた夢。

 しかし――今のはいったいなんだったのだろう? ハーレムを妄想するのはわりとよくあることではあるが……『使命』だと? 一瞬だけ、そんな妙な言葉が頭にちらついたような気がする。律季は、ほんの少しだけ、自分自身の思考に違和感を覚えた。


「ふふ……実際、苦労するのよ。変な人を本体マスターに持つとね……」


「……!?」(なんだ、その顔は? 炎夏ホノー……)


 螢視は、不思議なものを見た。

 万人に分け隔てなく接し、常に笑顔を振りまいて、他人の顔までも晴れ晴れとさせる――天道炎夏は、そんな太陽のような女性だ。

 その炎夏が今、律季に向けた笑みは、いつもの笑顔ではなかった。もっと複雑な感情を混ぜ込んだ、単純ならざる笑みだった。


「ひ、ひどいなあ。――まあ、事実だけど」


 そして律季も、炎夏の言葉に若干嬉しそうな顔を浮かべる。

 この二人の間には、既に深い関係が出来ていることを万人に理解させるやりとり。


「……ッ」


 全てを見ていた螢視の心の中に――モヤッ、と黒い雲が生まれた。

 ごく小さくはあったが、しかし凶兆を孕んだ雷雲の種だ。なぜなら炎夏と螢視の関係の歪みは、いまだ何一つ是正されてはいない。


 この空間の異常な光景、螢視との戦いで起きた異常な事象の数々。魔物化した螢視の行動。

 それらには全て、明確な理由があるのだ。


「さ、螢視ケージ。魔力を集中してみて。……って、言っても分からないか。とにかく、深呼吸して力を溜めるようにすれば……」


「あ、ああ……」


 さらに今、炎夏のアドバイスで――雷雲は、外界にその姿を現す。

 和やかだった律季の顔が、突然凍り付く。目線は、炎夏の頭上に跳ね上がった。


「――!! 二人とも、避けてッ!!」


「えっ――がぁっ!?」


 一瞬の出来事だった。炎夏と螢視の背後から、黒い魔力が立ち上って魔物の姿をなし、そこに座り込んでいた二人に一撃を加えたのだ。

 律季が鋭く声を飛ばしたが、間に合わない。爪の攻撃は炎夏の背中を深々とえぐり、鮮血を飛び散らせた。


「――炎夏さんッ!!!!」「炎夏ホノー!?」


「あ……ぐっ……」


「――『ウィンディー・デイ』ッ!!」


 魔物が倒れた炎夏に第二撃を加えようとした瞬間、強風が吹き荒れた。

 風は敵の体をすり抜け、三人の体を浮かせて運ぶ。律季は空中から、杖を魔物に差し向けるユウマの姿を見た。


「ユウマさん!?」


「な、何が――わぷっ!?」


「うだうだしてるんじゃないッ! さっさとそれで胸を隠せッ!!」


 『創造』で作ったと思しき布を螢視に叩きつけ、ユウマは怒鳴る。

 『ウィンディー・デイ』の風に乗って部屋の隅まで逃げはしたが、怪物はドスドスと音を立ててこちらに向かってきていた。螢視が入っていた時よりは遅いが、ストライドが大きいためここに来るまで猶予はない。レンが追いすがりながら魔物の体中に棍を振るっているが、ガスを斬るように効かなかった。


「なんでまたアイツが現れるんだ……文月螢視は元に戻っただろ! 『元』に戻ってないけど!

 でも、本体から引き離されてもまだ活動するなんて……!」


「――クソッ、ダメだ! 全然注意すら引けねぇぞ! 完全にお前らをタゲってる!」


「ボクらというより、天道炎夏をだろうね――動きはさっきまでとそんなに変わってない。

 レン、もういいよ! こっちへ来て解析に徹して! 天道炎夏の怪我は!?」


「か、かなりザックリいかれてます……! うわわわわ、血、血が止まらない……!」


「なんだって!? じゃあどうするんだよ!? アレには炎以外通らないんだろ!?」


「――だ、大丈夫よ。私が魔法を使えなくても、水鏡くんの、『乳揉ちちもみ技巧スキル』があるわ……」


「しゃべらなくていいです! わかってますから……!

 問題はそこじゃなくて――今の炎夏さんから魔力を吸い上げるのは、負担が大きいってことです! 技巧スキルを使うにしても、できるだけ最小の消費に抑えなくては……!」


 刻一刻と迫って来る黒いモンスターと、魔法使いたちの緊迫した会話に、螢視は圧倒されるばかりだ。

 と、そこに、『迅』を使ってレンが合流してくる。無為な攻撃を繰り返したせいで息が上がっていた。


「……レン? それにユウマもなのか……? お前ら、なんで……」


「……って、は!? 誰だコイツ!?」


「えっと……」


「あとで説明します! 『解析』の結果はッ!?」


 一瞬言い淀んだユウマに代わり、律季がレンにそう訊いた。

 立場を弁えない命令口調ではあったが、彼の眼光と口調に反論を許さない凄味があった。


「あ、ああ――性質はさっきまでと同質だが、やはり魔力の密度が下がっている!

 残りカス同然のスカスカの状態だが、エネルギーを消費しきるまでは動くはずだ! 止めるには、完全に焼き尽くす必要がある!」


「……わかりました。〝盛夏の香りエスティバル・フレーバー〟」


 あらゆる意味で猶予のない状況下で、律季が決然と立ち上がった。

 右手と炎夏の胸に〝聖痕スティグマータ〟を浮かび上がらせ、見えないマッチ箱を指先で擦るように空間を撫でる。附属物バディから本体マスターへと穏やかに魔力が移行し、律季の拳が燃え上がった。「ん……」と炎夏が息を漏らすが、それは快楽ではなく痛みからだ。


「――ユウマさん、助太刀をお願いします」


「……え?」


「これ以上炎夏さんの魔力を使うわけにはいかない。でも『生命力の鉄拳リビドー・ナックル』で直接ぶん殴ってちゃ無駄が多すぎる。

 ――ユウマさんの風に炎を乗せて、広範囲を焼ければ一番いいんですが……できますか?」


「わ、わかった……やってみる。だけど、もう少し待って。射程に入るまでアイツを引きつけないと」


「わかりました。構えますので、合図をお願いします」


「しくじるなよ、律季。技自体が一発勝負だってのもあるが、天道炎夏も一刻を争う。

 夢の中の怪我は肉体に反映される。速やかに手当てしないと命が危ない」


「……レンさん?」


「フン。勘違いするなよ――命令は『生け捕り』だ」


 律季が最先頭に立ち、炎を帯びた拳を握りしめる。ユウマがその後ろで杖を構え、敵が射程内に入り込むタイミングをうかがう。そしてレンは律季が失敗した時に備え、ユウマをさらって跳べる位置に着く。


(……律季、お前……)


 螢視は炎夏の介抱をしながら、決着の瞬間を見守る。

 拳に炎をたたえ、合図を待つ律季の、マントを羽織った背中。炎夏の笑顔と同じく、螢視が見たことのない姿だった。


(役に立てるっていいなぁ。役に立てないのは、嫌だなぁ……)


 何もできず、ただ炎夏を膝の上に乗せる事しかできない彼は、無力感に左胸を握ろうとして――その手の形のまま、昨日まではなかった胸の上の肉塊に接触し、『むぎゅう』と乳を握りつぶした。すると、手の中に小さな白い光が現れる。

 螢視は事の成り行きに見とれ、まだそれに気づかない。


「――ここだ! 行け水鏡律季!!

 『ウィンディー・デイ』!!」


「うおおおおおおおおッ!!」


 渦を巻く強烈な突風により、律季は突き飛ばされた。

 引き裂くような風圧に、ガタガタと体が揺らされるが――完全に気流に体幹を同調させたとき、それは律季の追い風と変わる。


「水鏡律季たすことの天道炎夏×かけることの神瀬ユウマ。そして、朝霧レンの『解析』。

 刮目しろ化け物。ボクら二チームの、最初で最後の『合体技』だ」


「かあああああああッ!!

 『生命力の鉄拳リビドー・ナックル』――〝火焔旋風レッド・ワール〟!!」


 ――残火のような魔力を込め、律季が放った一撃。炎は横殴りのつむじ風に巻き取られ、律季の視界全てを炎の渦で包み込む。

 それが晴れ、風が止んだ時――目の前に敵はいなかった。そして律季は落下しながら気づく。

 

(倒した。なのに――『夢が、消えない』ッ!!)


 意識が落ちることもなく、風景が変わることもない。

 叩きつけられた痛みは、あの幼稚園のフローリングの感触だ。「まずい、まずいまずいまずいッ!!」 目の前にやれることが無くなったせいで、ついに律季の脳内を焦りが支配した。


 炎夏が死ぬ。このままでは炎夏が死んでしまう。

 彼が愛情を向ける存在が消えてしまう。――それは、絶対にダメなことなのだ。


 彼はもう、何一つ手放すわけにいかないのだから。


「くっ、文月先輩!! ここはあなたの夢です、なんとか……ッ」




 律季は起き上がり、振り返って――そこには。




「んっ♡ くっ……♡ 炎夏ホノー……ッ」




「……は?」




 女と化した文月螢視が、苦し気な表情を浮かべながら、自らの手で左胸を『ぐぐぐ……っ♡』と絞り。


 そこから漂った『白い霧状のもの』を、膝枕した炎夏に降りかけて。


 彼女の背中の深い傷を、みるみる治癒させる――そんな、神々しい光景があった。




「――ああ、よかった。治った……」




「けっ――螢視ケージ。あなたまさか……」




「……『白魔力』を?」



 


 『仕事』を終えて安堵する螢視の優しい顔と、驚愕に染まったレンとユウマと炎夏の表情――そこで『夢』は崩壊し、五人は現実世界に帰還したのだった。




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