契約が果たされる時 その3


 ――イギリス標準時は時差の関係上、日本のそれよりも9時間遅れている。

 水鏡律季が日本で悪夢に魘されている午前3時ごろ、ロンドンはまだ夕方だった。


「あーあ、また派手にやってくれちゃって……」


 イギリス最大の都市の洒脱な街並みの裏側、薄暗い路地裏に、二つの影が映る。現れたのは、コーヒー色の髪の美少女と、銀髪赤眼の少年。神瀬勇真ユウマと朝霧レンだ。

 ラクガキだらけのレンガの壁が焼けこげ、浮浪者が見える範囲だけで三人ほど倒れていた。スチール製の四角いゴミ箱も壊され、中身があたり一面に散らばっていた。死体こそないものの、まるで市街戦の直後のようなありさまだ。

 奥の方から強風で酒瓶の破片が転がって来た。派手な破壊痕は、入り組んだ路地のどこまで続いているかわからない。無惨な光景にもかかわらず、二人の瞳は凪いでいた。


「まさか死んでないよね? そうなるとさすがにごまかせないよ」


「とりあえず脈はある。ちゃんと全員解析たから心配ない」


「……まったく、なにも真っ昼間にドンパチやらかすことないだろうにね。しかも『ROOMクリスタル』も使わずに。誰が後始末すると思ってんだか……」


 愚痴りながらも、ユウマは失神した浮浪者のそばに腰を下ろし、顔の前で何度か手を叩く。それを倒れているひとりずつに繰り返す。五分ほどかけて見つかった全員に『処置』をし終えた。


「近隣の方、路地が散らかっているので、手の空いている方はお掃除をお願いしまーす!」


 ユウマが若干ぎこちない英語でそう叫ぶと、建物の裏口が一斉に開き、ゴミ袋やホウキを持った住民たちが現れる。突然大声を出したユウマに文句を言うでもなく、彼らは黙々と散乱したゴミを片付け、倒れた浮浪者を家の中に引きずった。

 見ず知らずの日本人の命令を、人形のように唯々諾々と実行するイギリス人たち。気色の悪い状況に、レンは眉一つ動かさない。見慣れた光景だからだ。


「――って、結局お前も後始末してないじゃん」


「えへへ……バレちった」


 これこそ、彼ら二人の日常。魔法使いの戦いを目撃した者の記憶や戦闘の痕跡を抹消し、『教国』の活動を隠匿することを職務とする『エージェント』、神瀬ユウマと朝霧レンの仕事だった。


「そういや、肝心の『機関』の奴らは? さっきから見つからないが」


「本人が聖堂まで運んで行ったって。だからここはこれで終わり。さっさと帰ってドラマの続き見よ」


「そうか」


 路地から出た二人は、停めていた125ccの中型バイクに乗り込む。レンがハンドルを握り、ユウマがその後部座席に乗り込むタンデムだ。


「――ん、電話だ。ユウマ、ちょっと出てくれ。右のポケットだ」


「オッケー。――はい、ユウマです。スノー様ですか?」


 抵抗もなくレンのジーンズのポケットに手を突っ込むユウマ。バイブレーションするスマホを器用に取り出し、画面に『スノー』と名が表示された相手と通話を開始する。

 当然の権利のようにバイクの二人乗りをしながら通話をするユウマに、歩道で犬の散歩をしていたブロンドの女性が思わず振り向いて二度見する。運転手ではないとはいえ、世界でも屈指の交通ルールの厳しさを誇る国では、走行中の通話は大胆すぎた。日本人の彼らは周囲と比べて体も小さく、銀髪と茶髪というイケイケな恰好も手伝って、一見するとまるで無免許運転の不良である。


「ほら、レン。ごあいさつ」


「おっと……。こちらレン。珍しいじゃねーか、アンタがかけてくるなんて」


 ユウマがスマホをレンの口元にやった。危なっかしい行動に戸惑いながらも上司に挨拶する。

 『日本に現れた二人の魔法使いを連行せよ』――任務を片づけた矢先、10分もしないうちに次の命令だった。


「日本だってさ。変だね。わざわざボクらをご指名なんて」


「横浜の聖堂には荒っぽい奴らしかいないからな。お前の暗示で穏便に連れて来いってことだろ。――しかし、始末じゃなく生け捕りとなると、上層部はよっぽどそいつらに興味があるらしい」


「情報は後で来るけど、『みかがみりつき』って人はすぐ見つかりそうだね」


「苗字も名前もえらく変わってるよな。『てんどう』ってのも大概だが」


 ――ファンファンファン!

 逆風の中、大声で会話をするユウマとレンに、けたたましいサイレンが背後から襲う。蛍光色のボディにブルーのライトをつけた、ロンドン市警のパトカーだった。


『――そこのバイク、止まりなさい!』


「……もう、急いでるのに。いいよレン、止まらないで。


「……おいユウマ? 何する気だ?」


 ユウマの心底冷め切った無表情がバックミラーに移り、レンに嫌な予感がよぎる。ため息をひとつして、ユウマが片手でレンの腰にしがみつき、上半身を後ろへねじる。そして、背後のパトカーに向けておもむろに手を伸ばした。


  


 ――ピタリ。ユウマが奇妙に音節を区切って言葉を発した瞬間、警官の怒鳴り声とサイレンが前触れもなく止まった。並走するドライバーたちは皆怪訝そうな表情をして、バックミラーをのぞきこんでいる。

 イギリス人の警官に、ユウマの日本語の命令が聞き取れたはずもない。しかも二人のバイクとパトカーは優に十メートルは離れていた。


「おいおい、ユウマ……」


  


 そう言い捨ててユウマが体勢を戻す。背後では、沈黙したままのパトカーが言われるがまま脇道にそれていった。レンはあきれ顔でバイクのスピードを上げ、周囲の好奇の視線を振り切る。


「――ふんっ、いい気味だよ。あいつら、いっつも言いがかりでレンのお金取るんだから。これも魔法使いの特権ってやつさ」


「だからって乱用しすぎなんだよ、お前は……。いまに上から怒られるぞ。から、それまでに機嫌直しておけよ」


 気性の荒い美少女と、ダウナーな銀髪少年。

 奇妙な二人組を載せ、単車バイクは行く。目指すは、『マナ教』ロンドン聖堂――宗教施設に偽装された、魔の軍勢の前線基地だ。

 そこにあるテレポーターで、日本・横浜の聖堂まで瞬時に飛べる。バイクごと転移すれば、ターゲットのいる場所までの足も容易に手に入るのだ。


「久々の里帰りだ。仕事終わったら食べ歩きでもしようぜ」









 ――ぐしゃっ……。

 ユウマの手が、青い光を放つ結晶を握りつぶす。光を失った破片は、指の中から風に乗ってぱらぱらと飛んでいき、空気の中に消えていった。

 制服姿で振り向くユウマとレン。「武装形成フォーミングアーム」の巫女衣装でうずくまり、上目がちに正面を向く炎夏。全員の視線が、それぞれの目の色をして、乱入者たる律季に向いている。


(どういうことだ。先輩が例の二人とこっちに行ったって聞いたから来てみれば……先輩が押されてる? 名前だけじゃ分からなかったけど、ユウマっていうのはこっちの女の人か……)


 律季はとっさに状況がつかめない。

 炎夏は律季に対し、戦いに近寄らせまいと故意に情報を与えなかった。昨日魔法使いになったばかりの者が杖を持つはずもない。彼は今、まったくの丸腰だ。ユウマが目を細め、杖をゆっくりと差し向けかけて――


「く――『迅』ッ!」


「うわっ!?」


 それよりも早く炎夏は動いた。足元で爆発を起こして飛び、さらに『迅』で加速。律季に集中しかけたユウマとレンの虚を突き、炎夏は広い袖の中に彼女の『附属物バディ』を抱えて、屋上から走り去った。

 テンポの速い足音を立てて階段を下りながら、炎夏は緊迫した表情で律季をなじる。


「何してるのよバカ! あれだけ来るなって言ったでしょ!?」

 

「先輩が狙われてるって言うのに、じっとしてられるわけないじゃないですか! 実際、押されてたっぽかったし!」


「う……! ――で、でも、だからって来てどうするのよ!? 君、魔法の使い方だってまだ知らないじゃない!? とにかくここは全力で逃げて、君を保護してから――ッ!?」


 炎夏は息を飲んで立ち止まる。今彼女が立っている場所からは、四階から一階までを吹き抜けで一望できるのだが、異常な光景がそこに広がっていた。


「……!? これって、まさか……」


「察しが良いね――水鏡律季。そう、この空間は『夢』と同じものだ。ボクがキミたちを『ROOMクリスタル』で閉じ込めた。どこまで逃げたって、もう無駄だよ」


 背後から、階段をゆっくり降りてくるユウマとレン。

 たいして大きな声でもなかったが、まったく無音の吹き抜けにはよく響いた。


「『ROOMクリスタル』?」


「『夢』の研究の過程で作られた新兵器さ。砕くことで疑似的な『夢』の空間を作り出し、ターゲットを閉じ込める……。一度入っちゃったら、砕いた本人を倒さない限り絶対に出られない。

 ――ひとつしか持ってなかったから、二人まとめて閉じ込めたいところだったんだけど……まさか、ターゲットが両方とも向こうから来てくれるなんてね」


「何から何まで、『夢』と同じってわけか――水鏡くん、私の後ろに。いっちょかましてやるわ」


 炎夏の体がさらに熱を帯びる。周囲は無人。

 前方の狭い廊下に入り込んだユウマとレンは、面攻撃のエサにほかならなかった。


「人がいないってことは、魔法を見られないだけじゃなく、ケガさせる心配もないってことでしょ?

 ――オン・アビラウンケンソワカ!」


「――!!」


 猛烈な火炎と熱風が、前方の空間を飲み込む。炎夏に守られた律季も、火傷しそうな余波を感じたほどだ。しかも屋内は、『夢』の中よりもはるかに炎の密度が高くなる。それは火炎放射というより、爆風というべき威力だった。

 むせかえるような埃と煙。瞬時に熱気の充満した廊下の先で――。

 

「げほっ、げほっ……クソ、ちょっとナメてたな」


 激しくせき込みながら毒づくレン。ユウマを守って立ちはだかり、クロスした腕は制服の布地が破け、広く火傷が残っていた。

 ユウマの髪もところどころ焦げており、顔からはさっきまでの笑みが消えている。

 

「三年のキャリアは伊達じゃないってことかな? 悔しいけど、出力パワー比べじゃ勝てないや」


「だがウィークポイントも明確だ。連携で行くぞ、ユウマ」


「――『ソニックエッジ』!」


「『迅』!」


 ユウマが杖を振り上げてそう叫ぶ。周囲の空気が凝集し、七つの風の刃がちりを巻き込んで襲い掛かった。レンもその射線に居たが、むしろそれを追い風とするように刃の中をぬるりとすり抜け、刃と刃のわずかな隙間を縫って、魔法と一緒に飛び込んでくる。

 

「く……!」


「逃げたって無駄だ。燃費はこっちに分がある!」


 再び律季をわきに抱えた炎夏が、とっさに最寄りの教室だった美術室の扉を開けて隠れた。

 『ROOMクリスタル』で作られた空間はその時点で時が止まる。美術室の中には描きかけのデッサンを立てかけたキャンバスがたてかけてあり、足場が極めて悪い。


「『セイントフレイム』!」


「『剛』!」

 

 バックステップしながら、炎夏が杖から青い炎を発射する。レンは首を倒してそれをギリギリでかわし、棒を振るって律季もろとも炎夏を殴り飛ばした。並んだキャンバスがなぎ倒される。棚に衝突して腰を抜かした炎夏の頭上に、大量の筆洗が降ってきた。


「うう……っ」


「ぷくくく。無様だね、天道さん」

 

 たった数秒でぐちゃぐちゃに散らかった美術室に、悠然とユウマが踏み込んでくる。

 それを見上げながら苦痛にあえぐ炎夏。律季は、助けに来ながら逆に守られることしかできない無力感に震えた。


「これが『本体マスター』と『附属物バディ』の戦いだ。お前がいくら魔物相手に経験積んでようが、チーム戦でも対人戦でもド素人。そのくせ、


「く――うおおおおおおおっ!!」

 

「よせ」


「ぐっ!?」


 辱めに耐えかねて突進した律季に向かい、レンが片手を突き出す。顔面を掌に包み込み、ピタリと抑え込んだ。

 特にいきんでいるようにも見えないレンだが、律季がいくら踏ん張っても微動だにできない。


「お前が勝てる相手じゃないのはわかってるだろ。わざわざ好きな女の前で痛い目に遭いたいか?」

 

「――さ、最初からそのつもりで来たんだ! 痛めつけられたって、先輩が傷つくのを見てるよりマシだ! ――がぁっ!?」


 ――ボキィッ!

 鼻骨が嫌な音を立てるのがはっきりと聞こえた。レンは律季の顔をつかんでいた掌を瞬時に握り、そのまま容赦なく拳を打ち込んできたのだ。


「水鏡くん!!」


「レン、どいて。『ソニックエッジ』」


「さ、させるかっ……! ――うああああっ!!」

 

 炎夏は夢中で立ち上がりかけるが、入口に立ったユウマが、間髪入れずに再び魔法を行使する。律季は鼻血をぬぐうこともできず、条件反射的に炎夏を体でかばった。

 全身を切り刻まれる律季。防ぎきれなかった分だけが律季を通過し、炎夏も二の腕や腿を風の刃に切り裂かれ、制服が痛々しい赤に染まる。彼女はそれを気にも留めず、大量に出血する律季に駆け寄った。


「うわー。一般人のくせにムチャするなぁ……」

  

「お、お願い、もうやめて! 私がなんとかするから……! 君が私をかばうんじゃ逆でしょ!?」


 敵であるユウマさえも、律季の行動に若干の困惑を隠せない。

 しかし、ユウマとレンを倒せるのは、魔法使いである炎夏だけだ。彼女がダメージを負えない分、魔法使いでない律季がディフェンス役として攻撃を引き受けるのは、戦法としては間違っていない。

 

「……逆じゃないですよ。だって俺、先輩の『附属物バディ』ですから。多少痛くても、先輩の役に立ちたいと思って……」


「っ……! 臨兵闘者、皆陣列在前ッ!」

 

 律季は目が虚ろになってきている。大怪我で意識が飛びかけているのだ。

 炎夏は『鉾矢』を横に振り抜き、半円状に炎をまき散らして壁を作った。九字の呪文は陰陽道の護身の業だ。

 

「この期に及んで防御か。煮え切らない奴だな、お前は」


 炎の中にうっすらと見える影が、呆れた声を発した。


「第一、夢の中の魔物を一撃でぶっ殺せるお前の魔法が、俺たちを黒焦げにできないっていうのがそもそも妙だ。現実世界とは多少出力が違うとはいえ……。お前、


「魔法って言うのは、心のどこかに躊躇があったら、もろに威力に反映されるよね。口先で何言ってても、やっぱり戦う覚悟なんかできてなかったってことさ」


 そんなもの当たり前だ。ヒットマンと一緒にされては困る。できれば殺さずにこの場を収めたいと考えるのは、彼女にしてみれば自然なことだ。しかも対人戦どころかケンカ自体初めてだから、殺すか殺さないかのギリギリの火力を見極めるなんて、器用な真似ができるはずがない。


「……ぐっ!?」


「ほらな、揺さぶったらすぐこれだ」


 そう考えた瞬間、炎の壁を肩で突き破ってレンが突入してくる。戦意が揺らぎ、『躊躇』したせいで火力が弱まったのだ。

 

「まんまとハマったもんだねぇ。でも当然さ。ボクらは曲がりなりにもプロのエージェント、アマチュアで魔女をやってるような高校生とは訳が違うんだよ。

 ――そろそろトドメを刺してあげるから、二人とも動かないでね」


「う、ううっ……!」


 ユウマは入口から動いていない。既に炎の防壁は消えているためその姿がはっきり見える。レンは炎夏に肉薄し、棒で首筋を抑えて彼女を制圧している。

 ユウマの杖の先端が強い光をたたえ、トドメの一撃が来るのが分かっても、今の炎夏に打つ手はない。


「お願い、私には何をしてもかまわないわ! だけど、水鏡くんは解放してあげて! 彼は魔法の使い方も知らないし、捕まえたって、聞き出せることも何もない……!」


「ダ……ダメです。先輩……それじゃ、意味が……」


「水鏡くんが捕まる方がダメよ! エージェントの姿を見るだけならまだしも、一度基地まで連れて行った者を、教国が放っておくわけないわ! これは私の問題なの。本来君には関係ないのよ!」


「無関係だから解放しろ、か――お前、それしか言えねぇのか?」


 レンが炎夏の白い喉を棒で乱暴に突き回し、そう吐き捨てる。

 炎夏は何か言い返そうとしたが、どちらかと言えば寡黙な態度のレンが、やたらと激情にかられている。銀髪赤眼の少年の不快そうな表情を見て、炎夏は上がってきかかった言葉を飲み込むしかできなかった。


「お前はよほど偽善が好きらしいな」

 

「なにを……」

 

「痛い思いをしてもいい。怖かろうが関係ない。それでもかまわないから、お前炎夏についていきたいって言ってるだろ、こいつ律季は。……いくら守りたいからって、それを何度も突き放すなんて、ずいぶん残酷な話だ。

 この場合、


 ――彼らを取り巻くのは破壊された美術室の光景だ。

 キャンバスが壊れている。筆洗が散らばっている。時が止まって動かない太陽が、日差しを窓から送り込んできている。

 攻めるべき絶好の機にもかかわらず武器を止め、奇妙に実感のこもった話をするレンは、その間炎夏を見なかった。赤い瞳に映っていたのは、画材の散乱した周囲の景色と、火傷を負った自分の腕だ。

 

「どうしたのさ? やけに熱くなっちゃって……?」


「…………。いや……なんでもない」


 杖に魔法を装填したままの姿勢をキープするユウマも、レンに向けて怪訝な視線を送っていた。

 火傷した手で銀髪をいじくってから、レンは静かに棒を握り直す。

 

「へぇ、優しいんですね。意味はよく分からなかったですけど……俺に気を遣ってくれるんですか?」


「聞いちゃダメよ、水鏡くん。さっきと同じ、ただの揺さぶりだわ」


「……ああ、そうさ。おい、やれよユウマ。これで俺たちの任務は完了だ」


「うん」

 

 軽口をたたきながらも、内心律季は気が気でなかった。

 絶体絶命の状況は何ら変化がない。炎夏は依然動けず、もはや戦闘不能とみられて捨て置かれた律季だけがノーマークだった。

 レンを殴り飛ばして拘束を解いたとしても、準備万端のユウマの魔法が控えている。今彼がレンを出し抜いて走り出したとしても、ユウマの攻撃に撃ち抜かれるだろう。

 

(俺がやらなくちゃ……せめて、先輩の拘束だけでも解けたら……! 俺だって先輩の『附属物バディ』なんだ!)


 そしてレンの言う通り、律季の思考は、逃げて自分が助かろうという方向には行かなかった。どう炎夏を救助するか、どう敵を倒すか、それだけだ。

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