第11話 告白
『3! 2! 1!』
アナウンスでカウントがされると、一気に花火が打ち上げられていった。
赤色のものや、青色のものまでたくさんの色の花火が夜空を彩っていた。
隣を見ると、愛莉は「綺麗……」と呟きながら花火に夢中になっていた。
俺も今回の祭りの花火がここまで綺麗で壮大なものだとは思いもしていなかった。
ここに愛莉と来ることができたのはいい夏の思い出になりそうな気がする。
「この祭りに愛莉と来ることができて良かった」
「うん、私も悠くんと来れて本当に良かった! いつかまた、必ず2人で来ようね!」
「うん、必ず」
俺たちは2人でまたこの祭りに来ると約束を交わした。
周りを見渡すと、大勢のカップルがいた。ここはただの花火の鑑賞に最適の場所かと思っていたが、カップルに人気の場所だったりするのか?
『今しかないのでは……?』
俺の心の中でその言葉が浮かび上がってくる。
確かに俺の気持ちを愛莉に伝えるには最高のタイミングかもしれない。綺麗な花火が夜空を彩る中、最高のシチュエーション。
そう思い始めた途端、俺の鼓動がどんどん速くなっていくのを感じた。
俺は1度、大きく深呼吸をしてから愛莉に声を掛ける。
「なあ、愛莉」
「ん、どうしたの悠くん?」
「俺たちってよく、カップルだと勘違いされるよな」
「うん、確かにそうだけど、それがどうかしたの?」
何も知らない愛莉は不思議そうに俺の顔を覗いている。
言うんだ、俺!
俺は覚悟を決める。
「それを誤解じゃなくて本当のことにしないか?」
「え、それってどういう……」
俺はもう1度、大きく深く深呼吸する。
「俺は愛莉が好きだ。俺と付き合ってくれないか」
「……!? 本当に!? 私でいいの?」
「うん、愛莉がいいんだ」
「そっか。私も悠くんのことが好きだよ。これから、彼女としてよろしくお願いします」
「うん、よろしく」
花火も俺たちを祝福するみたいにハート形の花火が夜空に打ち上げられた。
俺と愛莉は綺麗に彩られた夜空の下で恋人になった。
「まるで花火まで私たちを祝ってくれてるみたいだね!」
「俺もちょうどそう思っていたところだよ」
「私たちって気が合う最高のカップルだね!」
愛莉は俺と恋人同士になれたことでテンションが上がっている。そんなことを考えている俺だが、実は愛莉と同じか、それ以上に嬉しすぎてテンションを上げているのは内緒だ。
花火を鑑賞し終えた俺たちは、再び手を繋いで宿泊施設へと帰ることにした。
今までと違うのは、それが普通の繋ぎ方ではなく、
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