第13話 思春期Ⅳ


郵便物を渡そうとすると届ないからこっちに持ってきてと言われ

手が届くところで渡そうとした瞬間

ひっぱられおじいちゃんの足と足の間にすっぽりと入った。

タバコ臭い。

後ろから抱きつかれている態勢でそのまま胸を揉まれた。

やめて!!

逃げようとすると

いい子だから大丈夫と言われおじいちゃんの息づかいはどんどん荒くなっていった。

私は必至で逃げようとした。

かなり力強く抑えられている。

胸から下半身に手が伸びた。

逃げようと立ち上がろうとしたけど男の人の力は強かった。


「おこずかいあげるから」


無理やりひっぱられ戻された。

その力は強くて痛い。

今回は本気で襲いに来ていると感じた。

怖くて泣けてきた。

初体験がおじいちゃんなんて嫌だと思い

今までで一番の力で必死に立ち上がった。

やっとおじいちゃんから離れられた。

悔しくて泣きながら走って玄関に向かう。

そして急いで涙を拭いて友達の前に戻った。

手はぶるぶる震えていた。

友達におじいちゃんに襲われたとは言えなかったし

頼まれたとは言えなんでおじいちゃんの家にきてしまったのだろうと

自分を責めた。

抑えられていた体が痛くて見るとアザになっていた。

おじいちゃんに襲われるなんてことがこの世にあるのか?

こんなひどい経験をしてるのは私しかいないんじゃないのか?

ってずっと思ってた。

もう二度とおじいちゃんに会いたくない。

この記憶もきっと一生消える事がないと思う。



何が正解なのかはわからない

勝手に一人で抱え込んでいたんだと思う。

もし母に抱え込んでいる感情を伝えていたら

友達に本心を話せていたら

こんなに自分だけがつらい目にあったという記憶を

胸の中にあるモヤモヤを軽くすることができたのだろうか。

もし普通の家庭で育ったなら辛いときに辛いと言える子になったのか。


家にいるのも辛かった時

母に一度言ったことがある。

親がいない子の施設にいれてよって。

母は自分でいきなといって話は聞いてくれなかった。


心にある消えないモヤモヤのせいで

私は万引きなどを繰り返すのだろうか。

満たされていない何かを埋めるように。

ずっと負の感情を抱えてる。



中学生活はある意味うわべだけの関係だった。

仲のいい友だちもいたけど、どこかで今だけの友達だと思っていた。

高校は自分で選べる。

自分をだしていけるところに行きたい。

そんなことを思いながら受験生となる。

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