第7話 幼少期Ⅵ

 

自分の中で葛藤してた。

母と一緒にいたいけど、子ども2人だと母が大変になってしまう。

父といればこの先もずっと暴力がある。


ずっと自分の気持ちなんて後回しだった。

素直に言葉にしてはいけないと思ってた。

やりたいこと、嫌なこと、本当の気持ちなんて言えるはずがなくて。


だけどもう素直になりたい。

私は母に電話をした。


「けがをして縫った。もう無理、そっちにいきたい」

大泣きしながら母に訴えた。


母の仕事の人が迎えに来てくれた。


やっと母の所にいける!!


久しぶりに母に会えてとてもうれしかった。

今まで以上に貧しいかもしれないけど心穏やかに生活ができると

安心した。


「何があっても我慢するんだよ」


家につく前に母が言った。

生活面でのことだろうと思っていたが

家についたらその理由がわかった。



男がいた。

妹と仲良く遊んでいる。



なにこれ…


母は男と妹と暮らしていたのだ。

4年生の私はいろんなことを理解した。

けれど急になじめるほど大人でもなかったし

その男をいきなり父になる人だと思うことはできなかった。

むしろ母に対して気持ち悪いとまで思った。


当時4歳だった妹は状況を理解することは難しく

ただその男になついた。


あぁ、そうか我慢するってこうゆう事か。

母は母親でなく女を選んだってことなんだ。

そう感じ絶望した。


その男は母の仕事の取引先の人だった。

母は朝~夕方まで仕事をし、夜~夜中まで飲み屋の仕事も始めていた。

私たちが寝た後に帰ってくる。

だから夜の時間はその男と一緒だった。


なつかなかった私が悪いのか、

その男は私がいないものとし無視し続けた。

でも母がいるときは話しかけたりしてきて仲いいように見せる。

私は学校から帰ってきてから一言も話さず家の端っこに一人でいた。

ごはんも妹とはちがった。私だけごはんが与えられない事もあった。


結局同じなんだ。。

暴力はないけど、精神的にダメージを与えてくる。


母にあの男は嫌だと言ったことがあった。

だったら父の所にいきなと言われ聞いてはもらえなかった。


ある時、夜中にお腹がいたくなってトイレに行きたかった。

トイレに行くには母の部屋を通らないといけない。

おなが痛いさえも言ってはいけない気がしてた。


冷汗がでてきた。

もうだめだと思い母の部屋をノックしお腹が痛いからトイレに行きたいと言った。


母たちは夜の営み中だったのだろう。

部屋に入らせてもらったが母は布団にもぐっていて

その男は私に舌打ちをした。


そのあとも辛くまたトイレに行きたいと思って

ノックをするともう入ってくるなと言われた。



心配してほしかった。

せめて大丈夫?の言葉だけでも欲しかった。

母はやっぱり女でいることを選んだんだと実感し

自分がこのまま死んで朝起きなかったらいいのにと思うようになっていた。


度々聞こえる、夜の営みの声もうんざりだった。

小さいから父とのそうゆう場面もたくさん見てきたから

年齢的にも性の認識は高かったと思う。

せめて隠れてしてくれといつも思っていた。



学校世活もそこまで馴染めなかった。

友達はできたけけどいつも同じ子と遊んでいた。

変な時期に転校してきたからか噂は広がっていた。

知らない子に、なんで親は離婚したの?

どっちの親がいないの?と聞かれる。

そして父親がいない子と呼ばれる。

時にはいつも同じ服着てるね、ビンボーなの?

と言われることもある。

通りすがりに叩かれることもあった。

これはイジメ?

イジメかはわからなかったけどこの時期、学校に行くのがすごく嫌だった。




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