第4話 幼少期Ⅲ


いつまで続くのか

半年後、一年後のことなんか想像さえできなかった。



小学生になった私は、一緒に遊べる友達ができた。

楽しいと思える瞬間ができた。

父は相変わらずだ。


小学3年生の時、一時期、習字を習っていたことがある。

その習字教室は本業はガラス屋さんだった。

ある日習字教室内で落ちていたガラスがささり

足の裏に深めにささってしまった。

私は父にばれたか怒られると思い習字中も誰にも言えず

ただ耐えていた。靴も履けないので裸足で帰ると

さすがに両親が気づき事情を話した。



「よくやった!!」


父が私に言った。


教室に怒鳴り込みにいく気だ。


心配してはくれないんだ。。

私が病院に行くことはなかった。



母への暴力も激しくなっていた。

暴力が始まると逃げるように母の職場に逃げ込み泊まったりもした。

ある時、止まる場所がなく仕方なく父が寝た時間を見計らって帰った。

しかし父は起きていて、玄関前の外でみんなでどけ座させられた。

時間は何時だったのだろうか。

子どもはとっくに寝ている時間だ。


「許してほしいなら、俺の靴をなめろ」


母に向けて放った言葉。


母は泣きながら父の靴をなめようとしたとき


「プライドないんだな」

そう言って父は母の頭を地面に蹴りつけた。


私が暴力を振られている時、最初母は子供にはやめてと

止めてくれたがそれを聞いた父はよりヒートアップしてしまう。

いつからか止めることはなくなった。

それが一番早く終わる方法だと気づいたのかもしれない。

あの頃の私はそんな事もわからずに母はもう助けてくれないんだ

私の事がやっぱり嫌いなんだと思っていた。







そんな頃、一生忘れられない事件がおきた。




父の暴力が母に向けられている時だ。

ちょっと前から暴力を受けると母は泣き叫びながら

もう疲れた、解放してほしいと訴えていた。

離婚して欲しいと。

それを言う母は勇気があったと今になって思う。

その言葉を発した後、父は笑いながらよりひどい暴力を振るうからだ。

何度目だろうか、この流れは。


今日も母は言った。



「もう疲れた。ほんとに疲れた。」



静かに泣いてた。

そして包丁を洋服の袖に隠してトイレに向かった。




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