第2話 幼少期
怖がり、人見知り、いつも母の後ろに隠れ人の顔色を伺うそんな子供だった。
もちろん保育園時代の記憶はほぼない。
覚えているのはちょっと変わった保育園でお寺の中にあるような保育園だったと思う。
人見知り過ぎて友達と楽しく遊んだ記憶はなく
大好きな先生がいた。
お寺だからかとても厳しく、給食も絶対に残してはダメ。
食べ終わるまで立ち上げることもできず泣きながら毎日ご飯を食べていた。
そんな中でも先生たちの顔色を伺い、
この先生はきっと私が嫌いだな
この先生なら大丈夫そうだと感じ取っていた。
両親共働いていたのでお迎えの時間がすぎ一人で教室で待っていることも多かった。
そのまま迎えにこないかも、捨てられたのかもしれない。
毎回そんな事を思っていた。
その頃の私の口癖はごめんなさいだった。
父は元々ヤンチャな人だった。
縫い傷が体中にある人だ。
私にとっては怖いしかなかった。
変わってくれるだろうと言う母の思いは通じなかったのだ。
母への暴力は日常的にあったし、躾という名の暴力をうけてきた。
生後何ヶ月かの私を車のボンネットの上に乗せ車を走らせたところから
始まったのかもしれない。
「俺が寝るまでマッサージしろ」
そう命令され正座で何時間もマッサージをさせられる。
足もしびれるし手も痛い。
だけど姿勢を変えたり手を止めると父のスイッチが入ってしまうから
止めることができない。
スイッチが入った父を誰も止めることはできないのだ。
家にはなぜか木製の木刀があった。
それを手にする父を見るたびに絶望的な気持ちになった。
殴る、蹴るは当たり前。
素手で、木刀で、時にはハサミや包丁なんかも出てきた。
泣きながらごめんなさい、もうしません。
ごめんなさい、気をつけます。
ごめんなさい、ごめんなさい、、、
ずっと繰り返してた。
悪いことはしてない、ただ父のスイッチが入っただけだ。
ごめんなさい、ごめんなさい。
「何がごめんなさいなんだ、何が悪いと思ってるんだ」
必死で悪いところを探すが見つからない。
ごめんなさい。
「生まれてきてごめんなさいなんじゃないのか?
お前のメシ代、生活費出してるのは誰だ?感謝しろ」
「ほら早く言え」
生まれてきてごめんなさい。
まだ3.4才の私の毎日は子供らしい子供とはかけ離れていた気がする。
そして4才の時に妹が生まれる。
妹は私とは正反対だった。
男の子ぽくて好奇心旺盛でどこにでも入っていけて。
そんな子だったから父はひどく可愛がり私と妹との扱いに差があった。
妹が何かしてもお姉ちゃんだからとすべてが私のせいになった。
「妹のことちゃんとみてなさい」
「お前がちゃんとしてないからだ」
だって妹がやったんだもん、、、
「妹のせいにしてお前は性格が悪いな」
「自分より小さい子なのに優しさはないのか?」
私に返ってくる言葉は否定的な言葉ばかりだ。
自分は必要のない人間だとずっと思っていた。
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