第5話
「怖いですか? 先輩」
「莫迦を言うな。もう十八歳だぞ」
「楽になってくださいね。なんなら身を委ねてもろても」
「莫迦な。私は、怖いものなんて」
「アーーーーッ!」
「何ーーーッ!!」
「ーーーッノルド・シュワルツネガーの顔みたいな形の岩♡」
「君って実は性格わるい?」
「ヒッヒッヒ、せえんぷぁいッ。私が守ってあげますからね」
決めた。やる。この鍾乳洞効果で私は先輩を落とす。もう誰も止められない。私は私が怖いよ。だが今宵はそれが頼もしい。しかし、結構広いな。だいたいこんなとこ勝手に入ってよかったのか。平子のやつ、撮れ高とか言ってたが何を仕掛けてやがる。主君に牙を向くほどのおもろさ重視のダーティー・ハリー、何もないと考えるほうが無理筋だ。とその時であった。途端ナレーション口調になるほど大量のコウモリがこちらに向かって飛んできたのだ。カエデ先輩は絶叫し「ゴッサム」と囁いて気絶してしまう。
「先輩?! どうしよどうしよどうしよ! ……決まっとるやろがい。なあなあ、決まっとるやろて。チューせえ。誓うのじゃ紺藤ツバキ。今生千載一遇の好機到来じゃぞ! 待って、本当にそれでいいの? 相手は無抵抗の
「オトリコミ中ノトコロ申シ訳アリマセン」
「なんなの? 私の中に住まう天使と悪魔と時々ロボ! ロボ!?」
「申シ遅レマシタ。オス、オラパルテノン君一号。平子博士ニヨッテ生ミ出サレタ悲シキモンスター。コレヨリ命令ニ従イ侵入者ヲ排除シマス。ウイーンガシャガシャ」
「平子ーーーッ!!」
なんだあのキリングマシンは。マジで危ない得物を振り回してきたぞ。クソ、もう少しだったのに。本当に守らなきゃならなくなった。カエデ先輩、私やります。パルテノン君一号をぶっ壊す。
「ウイーーーーッンンン ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャドクロ」
やべえ。地の利がやべえ。どうやって勝つ。ロボット相手に戦ったことなんてないよ。
「ガーガガピー ガガガガピーピー」
なんとかしなきゃ。このままだと二人とも殺されちゃう。なんでガチにやりに来てんだよ。マジで頭のおかしな奴しか居ねえんじゃねえかユリイカ学園。
「パルテノン君一号、リーサルウエポン発動アヌス砲発射マデ六〇秒」
とんでもねえな。イカれてやがる。いや待て。アヌス砲のアヌスのあたりにこれ見よがしに浮かぶあの文字は。
「アヌス砲発射マデ三〇秒」
こうなりゃイチバチだ。
「ツバキ……私ならやれる。心を! 燃やせーーーーーーッ!!」
「パルテノン君一号、全武装解除。侵入者排除システムヲ停止シマス。本日モオ疲レ様デシタ」
アヌス砲開口部の縁に書かれたanus[a・nus /éɪnəs/ (英)名詞 肛門]の文字。これのaだけを削り落とすことでNUS[Nintendo Ultra Sixty-four/ NINTEND⚪︎64の型番]に変えることが出来たって話。つまり今のパルテノン君一号はロクヨンでしかなく初代マリ⚪︎パーティで遊ぶのが関の山というわけだ。危ないとこだったぜ。なんてものを作ってくれるんだ。某法務部を敵に回すな。
「先輩! しっかりしてください! 私が悪かったです。やっぱり、こんなの違うから」
「ウゥ ツバキ……」
「エ"? 今名前を あかん! 火が点いてしもうた! アカーーンンン限界汽車発射! シュシュポーーーーッ」
「パルテノン君一号自爆システム作動。爆発マデ残リ六〇秒」
「……クソッタレーーーーーッ」
鍾乳洞を吹き飛ばした件でえるぱらいそは解散を余儀なくされた。退学にならないのは最早奇跡と言ってもよかったが私の想いは添い遂げらぬまま時は流れて冬も雪溶け。いよいよ来てしまったこの時が。桜咲く咲く春の兆し。三年生、卒業。
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