第3話
「あまりにも呆気ないのでワタクシから慈悲を差し上げます。バッファロー・サヴァイバー、二本先取に致しましょう」
繋がった。まだ舞える。なんとしても勝ちたい。私はここを楽園としたい。カエデ先輩は私のものだ。
「菊森、もう負けられないぞ」
「ツバキっち、普通に呼び捨てウケるんだけど」
「勝つぞーーーッ」
このゲーム、あまりにも咲洲のテリトリー。バトルサイボーグ平子との連携に隙がない。対して菊森先輩は紛うことなきポンコツ。どうすれば勝てる。考えてツバキ。どうすれば。
「菊森先輩、聞こえますか。あなたをパワーファイターと見込んでお願いがあります」
「何?」
「鼻はいいほうか」
「鼻?」
「そろそろ準備はいいかい? それでは第二サバンナ、始めッ!」
「菊森! プランAだ!」
「ハイヨッ! うらああああ!」
「何ッ!?」
菊森先輩の嗅覚は推定犬の一〇〇倍。ギャルなのに化粧をほぼしてないのはおそらく匂いがきつすぎるからだ。平子に乳凸された瞬間僅かに漂ったあの香り。間違いない。あれはガルチェandドバドバーナ。
「その香水のせいだよーーーッ! いけーーーッ菊森ーーーッ!」
「何何何ッッ」
菊森先輩は平子の身体ごとキャリーしながら咲洲目掛けて突進した。これがプランA、アロマタクティクス。
「バッファローーーーッ」
「馬鹿なあ! ア、ァッ」
「菊森・紺藤チームワンポイント。おもしろくなってきたね」
ファイナルラウンド。繋がったとはいえアロマタクティクス、所詮はわからん殺し。咲洲の対応力からしておそらくもう通用しない。こちらはその先に行かねばならない。
「紺藤とか言ったわね。小癪な。もう許さなくってよ。平子さん! 容赦は要らないわ誉れは覇魔でお捨てなさい! 修羅夜叉の構え!」
「イエス、マイ咲洲様。有情パージ。戦闘モード移行。シンクロ率四〇〇パーセント」
なんだ。あれは。まさか、魔闘気。
「お覚悟を。
「菊森先輩、構えて!」
「う、うわああ」
平子のやつ同じ手を使ってきやがった。このまま菊森先輩ごと私を討つつもりだ。
「菊森先輩、プランBです!」
「よっしゃーーーーッ」
「何ッ! まだ奥の手が!?」
「うらーーーッ」
「咲洲さん、奥の手なんてないんです。プランB ビー ストロング。ただ強くあれ」
「ふざけるなーーーッ」
菊森先輩は平子をそのまま投げ飛ばした。刹那宙を舞った彼女のからだは次の瞬間地に墜つ。平子ハルノ、リタイヤ。
「ヘッヘッヘ、乳首はどこかなぁ?」
「やめ、やめなさい! 卑劣よ! ルール違反だわ!」
「菊森先輩、関係ない。行け」
「あ ああ あ」
「わりぃな先輩。ウチの大将の命令なんだわ。バッ!」
「お願い! よして……いや、嫌よ!」
「ッッ! ファローーーーーーッッ」
ハゥ……
「菊森・紺藤チーム、ツーポイント。よって同好破りは君たちの勝利だ。よくやったね紺藤くん」
先輩、私はずっとその笑顔を待ち侘びていました。楽園、発足。
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