駄作論

珠邑ミト

第1話 書いたら忘れていいですか?



 こんにちは。珠邑たまむらです。


 玉があるむらの話を書いている人と思われがちですが、実際は文学畑で収穫してもらいそびれて、土にもどったような、そんな人間です。

 そんな人間が、ふわっと思い立って、ふわっとなんとなく、創作に関するよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、まあロクなことにはなりませんが、気が向いたので書いてみます。


 さて、主題の『駄作論』ですが、ダサクロンとお読みください。


 あらやだ、なんだかカタカナにすると、ちょっとカッコよくございません?(ございません。気のせいです)

 いや何故なにゆえにして駄作論なのかと申しますとですね、ワタクシ「書くと内容の七割近くを忘れる病」を発症しておりまして。ええ。もののみごとに。すぱっと。小気味よく。さわやかに。あれ、そもそも書いたっけ?


 そう。正確には駄作家論ですね。だめじゃん。


 いや、思いかえせば三十数年(あいだ十年休眠期間有)。小説の執筆などという業深ごうふかきわざに手をそめてまいりましたが、はじまりは当然手書き。その後、めでたくも進化あいなりまして、キーボードで入力するというスタイルに変幻したわけでございますが、ワタクシまもなく四十三歳とかになるんですよ。逆算してくださいね。執筆開始はぎり昭和でした。たしか。


 当時、世のご家庭にパソコンなどという大仰なものはなく、しかし新しもの好き家電大好きの我が実父が購入してくれたおかげで、小学生のワタクシも執筆にマシンを使うことができるようになりました。じゃじゃーん。ワードプロセッサーです。フードプロセッサーではありません。インクリボンとか感熱紙とかで文字が印字されるカッコイイやつです。


 リビングにのすみには「ででーん」と堂々たる父の黒いデスクが鎮座しており、その後ろにはワタクシの習っていた黒いエレクトーンがあり、反対の片隅にはテレビで映像まで流れちゃうご家庭用カラオケセットがあって、ああじゃないじゃない、その話じゃないわ。ワードプロセッサーだ。ワープロさん。彼の君は、そう、その父の黒いデスクの上に、ちょこん、とかわいらしくも、ちょっと偉そうにしておりましたね。


 ――表示画面は、細かった。


 確か、五行くらいしか反映されてなかったんと違うかしらん?

 しかも横書き。


 そんな懐かしくも当時最先端だったはずのマシンで、いまだローマ字も習わぬ小娘ちゃんが、ぽちぽちと雨だれでささやかな物語を書こうと努力していたわけですよ。かわいらしいでしょ? 健気でしょ? 幼女だった時代もあるんですよ。今じゃ、すっかりしなびたおばあちゃんですけども。書いてたんですよ。


 妖精とか、精霊とか、エルフとか、異世界とかを。


 書いてたんですよ、異世界ファンタジー。

 子どものころにはね!?


 いやー。当時の自分が今の時代を生きていたら、小躍りしていたでしょうね。

 流行りが来る前にマイブームが終わるの、わりとワタクシの人生のデフォルトなんですが、この悲しい宿業なんとかなりませんかね? 大体十年くらいずれるんですよ。マイブームが世のブームになるの。あ、そんなことはどうでもいいや。


 そんなわけで、子どものころに書いていたものを思い起こして、異世界ファンタジーとかワクワク書いてみればいいじゃん? と思いますよね?

 はいそこで表題。


「書いたら忘れていいですか?」


 ワードプロセッサーさん。インクリボン高かったんですよね……。

 だから、子どもの私が使わせてもらえたのは感熱紙なんです。


 ――感熱紙って、月日の流れと共に、字が消えてゆくんですよ。


 はい。もう一度表題いきますね。



「書いたら忘れていいですか?」



 ノ―――――ン!(号泣)

 求ム。思い出し薬。



**********************


 とまあ、こんな感じで、気が向いたら「書く」にまつわるあれこれを書いていきたいと思います。

 お時間ございましたら、ひまつぶしに、のぞきに来てやってくださいませ。




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