第2-2話 友

それから茉白と友達になってからというのも、


放課後になると毎日、旧図書館で他愛もない話をするようになった。


同じクラスなのに教室では一言、二言挨拶交わす程度。

だけど放課後にこの場所限定で長い間、本当に友人だったかのようにたくさん話をする。


彼女から見たクラスの面白かった出来事、今日起きた彼女自身のこと、今日のお弁当のメニューなど様々。

本当に中身のない話ばかり。


俺が知らないことを彼女が全部教えてくれる。

奇妙な関係だけど、この関係はとても居心地が良かった。



クラスでは一緒にいることはほぼなかったものの、毎日放課後にそれぞれ時間をずらして旧図書館に入る俺達を見る人が何人かいたせいか、次第に周りから俺たちの名前をもじって「くろしろコンビ」と密かに呼ばれていた。


そんな風に呼ばれているのは知っていたけど別に悪い気はしない。

むしろ誇らしいとも感じれた。



中には俺たちが付き合っているのではないか?と疑う人もいたが、そんなことはあり得ない。


だって俺たちはただの友達なんだから。

それ以上でもそれ未満でもない。


求める必要はない、そう思っていた。



が来るまでは。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る