第12話
夜のとばりが降り、僕とイェンは酒場に来てた。
「や、マスターまた来たよ。」
「いらっしゃいませ、十全様。」
「十全お前、この方は…」
「うん、クローネのお父さんだね。」
「久しいな、イェン。」
「リンギット…さん…」
二人の間に絶妙な空気が流れる。
「とりあえず席に座ろうか、今日は貸切にして貰ったしね。」
「そうですね、十全様の頼みですので。」
「リンギットさんが敬語…十全お前もしかして…」
「ま、まぁまぁ…そう言うのは後にして、とりあえず本題に入ろうか。」
僕はマスターに今日あった事を話した。
そしてイェンには僕とマスターの関係を話した。
「なるほどそんな事が…そして十全様が私達の事を覇龍だと気付いていなかったとは思いませんでした。」
「あはは…僕が知ってる覇龍はドラクマだけだったから…」
「ふむ…言われてみれば確かにあの者は人間界で伝わる覇龍そのものですからね…」
「最初にイェンと会った時も似たような感覚だったけどイェンは穏やかだったから驚いたよ。」
「はは、覇龍全てが破壊や殲滅を好む訳ではありませんよ十全様。」
と、僕とマスターが会話を弾ませている横でイェンはぶつぶつと呟いている。
「十全の父親は剣聖ニーバイでリンギットさんの契約者…なるほど、だからか…」
「あのー、イェン?大丈夫?」
「大丈夫だ十全、いや十全様、少し考え事をしていただけだ…です。」
「えっ…なんかキモい…無理に敬語じゃなくて良いよ。」
「しかし…」
「十全様が構わないと言ってるんだ、かしこまらなくていいぞイェン。」
「…では十全よ、一つ提案させてもらう。」
「ん?いいよ。」
するとイェンは僕の手を握って言った。
「十全お前、俺と契約しないか?」
「はっ?」
イェンの提案は凄く突拍子もないものだった。
「俺は真剣だぞ十全、それにお前にとっても悪くない筈だ。」
「いやいや!お前と契約するって事はフランちゃんとも契約するって事だぞ!」
「フランなら喜んで受け入れるだろうがな。」
「う、うーん…」
覇龍と契約する、という事は人類にとってはとても大きなメリットになる。
1つは覇龍と魔力を分かち合う事が出来る。
つまり、魔力が少ない人類は覇龍の莫大な魔力を得る事が出来る。
しかし、覇龍にとってはデメリットが大きく契約者に依存するが弱体化も余儀なくされ、契約した覇龍を親の代としその子孫達も契約を強いられてしまう。
「仮に僕とイェンが契約したとして、今日みたいに魔力が尽きたらイェンの魔力も尽きるって事になるんだぞ?」
「あぁ、わかっている。」
「そしたら誰かに襲われた時、だれがフランちゃんを守るんだよ!僕は無力になっちゃうんだぞ!」
「わかっている、しかしそうなってもお前ならその状況を打破する力があると、俺は信じている。」
イェンの真っ直ぐなその瞳に思わず了承を出しそうになる。
「くっ…あぁ、もう!ダメだ!少し外へ出てくる!」
「ふむ…時間はあるんだ、十分に考えるが良い十全。」
僕は冷静に考えを纏める為に、夜風にするあたる事にした。
世界最強ジョブマスターには誰にも言えない弱点があった! @vap
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