第6話
泣きながら朝食を口に運ぶチナツさんを横目に、僕はイェンと話を続けている。
「で、イェンはなんで僕の家に来たんだ?」
「あぁ、それはフランがお前の事を気に入ってしまってな!」
「気に入ったって言っても…まさか今日連れて来てるのか?」
「いや、フランは留守番してるぞ!」
「ん…?じゃ一体何が目的で…」
「お前を俺の家に連れて行くんだよ。」
「えっ」
イェンはそう言うと、僕を脇にか変えて外へ飛び出した。
「よし、飛ぶぞ!」
人化している状態なのに、脚力のみで山を飛び越える。
「おいおい…マジかぁ…」
「そうだ十全俺にバフをかけろ、筋力を上げるのでいい。」
「えぇ…別に要らないだろ…」
と、言いつつ期待の眼差しを向けられる。
「はぁ…仕方ない、特別良いのをかけてやるよ。」
[筋力上昇(極地)]
「おおっ!こりゃいいな、身体が軽くなった!ははっ!」
そう言うと、イェンは移動する速度を早めた。
「ちょ…はっ、はや…」
身体を揺さぶられ、昨日の酒が込み上げてくる。
そして僕は吐瀉物を撒き散らしながら気を失った。
気が付くと、昨日の山岳地帯に居た。
「あぇ…ここは…」
「あっ、ジューゼンさん!気が付きましたか?」
目の前にはフランちゃんが居て、僕は横になっていた。
「ん…?フランちゃん?あれっ、イェンは?」
「パパですか?パパならジューゼンさんを連れてきた後、身体が軽くて楽しいと言ってどこかへ跳んで行きましたよ。」
「な、なるほど…」
「に、しても驚きました!ジューゼンさんって女の人だったんですね!」
「ん…?女の人…?はっ!?」
そう言って俺は飛び起きた。
「わっ!?」
「ご、ごめん!大丈夫!?」
「は、はい!大丈夫です!」
「はぁ…、やってしまった…でもどうしてこんな…」
と、今の状況について頭を回転させる。
「あのー、ジューゼンさんですよね?パパにバフをかけてたの!」
「えっ?あぁ、うん!そうだよ。」
「やっぱり!あんなに高度な魔法、ママくらいしか見た事なかったから!」
と、フランちゃんはキラキラとした笑顔で言った。
「あはは…ママね…」
「うん!ママは覇龍の中でも珍しい魔法に詳しい龍でね!」
フランちゃんはママについて色々話始めた。
「…だからね!パパにバフをかけられるジューゼンさんは凄いんだよ!」
「そうなんだね、あはは…」
自分の現状を受け入れる事が出来ず、嬉々として話を進めるフランちゃんの話の内容が入って来ない。
「だって普通の魔法使いがパパにバフをかけたら、根こそぎ持って行かれて魔力が枯れちゃうもん!」
とフランちゃんが言った途端、光が差した。
「魔力が枯れる…?そうか、それだ!」
「ジューゼンさん!?どうしたんですか?」
「他人にバフをかけるなんてやった事ないから知らなかった…」
「あの…ジューゼンさん、何かあったのかもしれませんが下着は履いた方が良いと思いますよ…」
「んぇ?下着…?」
と、僕は自分の下半身に目をやる。
「あっ…」
そうして僕は、出会って2日の小さな覇龍の女の子に半裸の下半身を見られてしまった。
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