第7話
カン カン カン
森の中に響く、刃がぶつかり合う音。
「やるねえ。」
余裕そうに剣を振るうアーサー。
それに負けず、ナイフを振るうフードの人物。
(すぐ終わると思ってたけど、途中で体術挟んできたり、フェイントをかけてきたりと、結構な手練れとみて間違いなさそうだな。)
と、考え事をしつつ剣を振るう。
だが突然、フードの人物が後退し、何かを投げつけてくる。
「よっ」
アーサーはそれに反応して、その物を切る。
が、中から白い煙が出て、アーサーの周りを覆う。
「…」
(…スモークグレネードか。このくらい魔術でちょっとやれば…て、なんだ?何か…)
「ッ!?」
何かを感じ視線を向けた方向。その方向から突然、何かが煙を突き抜けて来る。
アーサーはとっさに身体を横に傾けギリギリ回避する。
「チッ」
舌打ちをしつつ、 『魔術』で風を起こし煙を晴らせる。
視界が晴れたことで見えてきたのは、誰もいない森の中。
(心音が消えた…逃げられたか。…にしても今の攻撃は…魔術か?)
「…念の為、警戒はしとくか。」
アーサーは村に向かって歩き出す。
「…はやく宿にもどるか。」
◆
「よいしょっと。」
野営地につき、テントの中で少女を下ろして寝かせる。
(…とりあえず連れて帰って来たけど…)
「……まずは、この子の体調を調べよう。」
リヨリアはまず少女の健康状態を調べることにした。
「えっと、確かこのバッグに〜…あった、血液検査キット!」
テントに置いてある大きなカバンから取り出したのは、白い半透明な箱。中には、試験管や透明な液体の入った小瓶などが入ってる。
「スネクさんに貰っといて良かったぁ。」
心の中でその人物に感謝をする。
「…それじゃあ、検査するとしますか。」
少女の方に向き直り、箱をいったん地面に置く。
「えっと、まずは血を少量…」
と箱から針と使い方が手書きで書かれた紙を出す。
「…それじゃ、失礼します。」
その一言と共に、少女の右手の親指に針を刺す。いい深さまで刺さったことが確認できたリヨリアは、針を抜く。
すると、親指からプクッと赤い血が出てくる。
「血が出たことを確認できたら、スポイトで摂る。」
と、針を箱に戻し、今度はスポイトを取り出し、血を摂る。
「次に試験管に付属の液体を入れる…」
とスポイトを置き、箱から試験管と小瓶を取り出し、小瓶の中身を試験管に移し替える。
「そしたら、後は摂った血を入れるだけ。」
と、スポイトを手に取り、その血液を試験管の中に垂らす。
すると、あっという間に液体は透明から、緑色に変わる。
「あ、変わった。」
リヨリアは紙を見て、結果を確認する。
「えっと、赤は風邪で…緑は…栄養失調。まぁ、そうだよね。」
出た結果に、当たり前だと言うふうに頷く。
「じゃあ、何か食べさせないとだけど、何かあったかな…」
と、また大きなカバンを漁り始める。
数分後
「…にんじん、玉ねぎ、卵、コンソメスープの素…スープが作れる。」
リヨリアは立ち上がり、テントの中で吊るしてある、鍋とまな板を取り出し、大きいカバンから包丁を取り出し、食材を持ってテントの外に出る。
「よし、調理開始。」
その言葉と共に包丁を持ち、調理を始める。
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