第2話
「今日のご飯どうしようかなぁ…」
ココ村の大通り。
リヨリアは空を見ながら、晩御飯について考えていた。
「うーん。」
立ち止まって考えてみる。
「…出てこない。」
案が出ずに、再度歩き出す。
その時
「あ?リヨちゃん!!」
「え?」
突然、横から名前が呼ばれるのが聞こえ、そちらの方向を見る。
そこには、パンの入ったカゴがズラーっと並ぶ店のカウンターから、リヨリアに手を振るう女性がいた。
リヨリアはひとまずその店に向かう。
「こんにちは、アメリアさん。」
「やぁ、リヨちゃん。」
優しい笑みをリヨリアに浮かべる、パン屋の店主『アメリア』
「今日も売りに来たの?」
「はい。今日はいっぱい野ネズミが取れたんです。」
「そっか…今日もお疲れ様。」
「アメリアさんもお疲れ様です。」
「いやぁ、私はパンを焼いて売るだけだから、リヨちゃんよりは楽だよ。楽しいしね。」
「それはいいですね。」
「あ、そうだ。リヨちゃんに食べてもらいたのがあるんだよ。」
「ん?」
アメリアは1度店の奥へと行き、ちょっとして戻って来たかと思うと、手には「試作品」と書かれた紙に包まれた何かを持ってきた。
「はいコレ…食べてみて。」
そう言って、それをリヨリアに手渡す。
「あ…はい。ありがとうございます。」
リヨリアは中身が分からない状況で、それを受け取る。
(なんだろう…コレ…)
不安が少しある心を振り払い、包みを開ける。
「…これって…ハンバーガー?」
「正解!」
中身は野菜と肉がパンに挟まれたもの『ハンバーガー』だった。
「とりあえず食べてみて。」
「じゃ…じゃあ…いただきます。」
アメリアの期待の眼差しを横に感じながら、ひと口食べてみる。
「…美味しいです。」
「ホントに?!」
「本当に美味しです。」
「やった!」
アメリアは両手を上げ喜ぶ。
「それにしても、なんでこれをボクに?」
「それはねぇ、その肉が関係してるんだよ。」
「肉?」
「さぁ、問題です。この肉は何の肉でしょう。」
「え、急ですね。」
「いいから、何の肉か答えてみて。」
「そうですねぇ…」
リヨリアは顎に手を当て考える。
(ボクに関係している肉…ボクが持ってきた肉ってことかな?となると…)
「もしかして…野ネズミの肉ですか?」
「正解!」
「え、本当ですか!?」
「本当だよ。」
「こんなに美味しかったんですね。」
「あれ?食べたことなかったの?」
「そ、そうですねぇ…」
「そっか…なら食べれてよかったね。ちなみにその肉の美味しさは、リヨちゃんが鮮度を保った状態で持ってきてくれたからそんなに美味しいんだよ。」
「そういば…アメリアさんに野ネズミの肉をおすそ分けしたことありましたね。」
「そうそう、不腐の葉のおかげで鮮度がいい状態の
ままだったんだけど…使い道がわかんなくてねぇ…だから、パンに挟めば美味しいかなって…」
「いいアイディアを思いつきますね。」
「でしょー!」
カウンターから嬉しそうに身を乗り出すアメリア。
リヨリアはそれを横目にハンバーガーを食べ進める。
その時
「あ、リオリアじゃん。」
「ん?」
突然、本日2回目の名前呼びにそちらを向く。
そこには、茶髪に黒目の少年が立っていた。
「レオさん。」
「うす。」
片手を上げて挨拶をする少年『レオ』。
「久しぶり。」
「ん、久しぶりだな。」
「お、レオくんじゃん。」
「こんちわっす。」
「いつものパン?」
「うす、おねしゃす。」
「おっけい。」
アメリアは沢山並んだカゴから、茶色っぽいパンを2個取ると、紙袋に入れる。
「はい、黒パン2個で6ゴールドね。」
「ありがとうございます。」
レオはそれを受け取ると、銅貨を6枚枚渡す。
「まいどあり〜…」
アメリアは銀貨を箱の中に入れる。
「あれ、今日はクエストですか?」
買い物を終えた隙をみて、質問をなげかけるリヨリア。
「そうだぜ。」
「…」
「なんだよ。」
「それ…お昼ご飯?それだけですか?」
「そ、そうだけど…これで事たりるし。」
「…すみません、アメリアさん。」
「ん?」
「このパン1つください。」
と、サンドイッチの詰め合わせを指す。
「え…あ、わかった。」
アメリアはすぐさま、サンドイッチの詰め合わせを紙袋に入れる。
「はい、15ゴールドね。」
「ありがとうございます。」
リヨリアはそれを受け取り、代金を渡す。
「…はいコレ、お昼に食べてください。」
と、その紙袋をレオに差し出す。
「え…あ…いいよ、要らねえよ。」
「いいですから、食べてください!」
「グッ…」
「へぇ…女の子からのプレゼントを受け取らないなんて…損じゃない?」
「ウグッ…分かったよ。ありがたくもらうよ!」
紙袋を受け取るレオ。
「…ちなみになんだ…さっきから持ってるそのパンなんだ?」
「え、これですか?ハンバーガーです。」
「試作品だけどねえ…ちなみに肉は野ネズミだよ。」
「野ネズミの肉か…よく考えたっすね。」
「でしょー!!」
「美味しいですよ。」
「そっか…良かったな。」
目をそらすレオ。
(あれ…やっぱりいつも通り…会話が続かないなぁ…そうだ!)
「…もし良かったら1口食べますか?」
「え?」
リヨリアの言葉にレオが反応する。
「い、要らねえよ!」
「え?」
「お、俺はもう行く!じゃあな!」
レオは怒り気味でクエストへと向かうのであった。
「なんかしちゃったんでしょうか?」
何が悪かったのか分からず、アメリアの方を見るが、
「さぁ…」
と、アメリアも理解ができていなかった。
「…なんで?」
その一言を呟くリヨリア。
(なんか少し…顔赤かったような…)
「気のせいかな…」
「ん?」
「いや、なんでもないです。」
「そう…パン買ってく?」
「買っていきます。」
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