第16話 びっくりするほどすっぱだか
「は?」
俺と霊子は同じ母音と子音を吐いていた。
「全裸でか?」
「はい」
「あの奇声でか?」
「はい」
ああ……やはりそうだ。
前にネットで見たことがある……。
「全裸で尻を叩きながら、びっくりするほどすっぱだかと叫ぶと、悪霊が逃げて行くとかなんとか……」
「エグザクトリー! それです」
「それですじゃねえよ!! 何あんなの真に受けてんだ!! どう考えたって与太話だろ!!」
「いいえ。私はこれで実際に悪霊を退散させた実績があります」
ふふんと胸を張る。
そういう動きをすると布団の隙間から色々見えてしまうから自嘲してくれ。
「本当かい? あの珍妙な行動と、退散との相関関係が見えないのだけど」
「その昔、私は、幽霊に遭遇しました。怖くて怖くて仕方がなかった。念仏を唱えてみても、神に祈っても効果がなかった……おかしいですよね。普段は神仏を信仰していないのに、そういう時は頼ってしまう」
その気持ちはわかる。
俺も暗闇の恐怖に押しつぶされそうなときはそうやって必死に祈ったものだ。
無論、効果はなかったが……。
「このままでは憑り殺されるのではないか、そう思ったとき、不意に脳裏に閃いたのです。あれだ、と」
あー、閃いちゃったか。
「そこで、おもむろに服を脱ぎ、びっくりするほどすっぱだかと叫びながら尻を叩いていると、幽霊は消えていました。ふふん」
なぜそこで鼻を鳴らす。
「偶然ではないのかい? その行動と幽霊の退散に因果関係を見出せないのだが」
そうだ言ってやれ。
こういう時、科学者の視点は頼りになる。
「いいえ。何度も試したので、効果には再現性があります。首なしライダーと遭遇したときも一発でした」
あんたもあそこ行ってたのかよ!?
っていうかあそこでもやったのかよ!?
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