第14話 怖いは怖いが、思ってた怖さじゃない

 えっ。


 えっ。


 えっ。


 さっき聞こえてたのって、これ?


 なにしろこちらに向けているのは尻だけなので、俺たちの存在に気づくことはなく、狂ったように尻を叩き続け、叫び続ける女。


 これ、幽霊……なのか?


 思わず霊子と顔を見合わせる。


 が、彼女もげんなりした様子で首を振っている。


 怖すぎる……。


 怖いは怖いが、思ってた怖さじゃない。


 完全に違う怖さの幽霊が、尻を叩き続けている。


 全裸だが、ぜんぜんエロさを感じない……。


 そこにあるのは恐怖だけだ。


「びっくりするほどすっぱだか!! びっくりするほどすっぱだか!!」


 ……あれ?


 これなんかどっかで聞いたことあるぞ。


 確かネットの与太話で――


「生身の人間……なのか?」


「はい?」


 全裸で尻を叩いている幽霊――いや、生身の変態が振り返った。


 瞬間、時間が止まる。


 変態の顔面が、硬直する。


「……いいん、ちょう……?」

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