第32話 友人との一時
学校に登校し、ゆっくりと1時間目の準備をしていたが気になることがある。
彼女…美奈が登校してこないのだ。
もしかしたら熱でも出したのかもしれない。彼女の妹…桜花さんの関係で色々としているのかもしれない。
熱というのはやっぱり大変だ。
実際、俺も昔苦労したことがある。その時のことを思い出すと…今でも辛いと思う。
熱で幻覚のようなものを見たことさえある。
あの時は本当に大変だった。
だからもしかして…とは思っていたのだが、そういうわけではなかったようだ。
1時間目が終わる直前になった頃…彼女はやってきた。
いきなり後ろの教室のドアが開き、一人の女子が入ってきたのだ。
入ってきたのは彼女…美奈だ。
一応付き合ってる身として、彼女のことを案じていたので少しだけホッとした。
でもなんだろう…彼女が遅刻することが珍しすぎてびっくりした。
「はぁ…あいつが遅れてくるなんて思わなかった。というか遅刻したら…皆勤は無理かな。」
俺はそう一人でつぶやきながら目を伏せようとした。しかし、そうしようとした直後俺の唯一の友達が話しかけてきた。
「よっ!!相変わらず暗いな!!もう少し他人との交流を増やしたほうが良いんじゃないか?」
「ひでぇ言い草だな。まぁこうやって心配して来てくれるだけで嬉しいんだけどさ。」
「俺達は友達だろ?友達なら心配するのは普通だろ?なにか違うのか?」
「いや…そんなことはないよ。でもどうしてここに?今日は特に用事があるってわけじゃないんでしょ?」
「いやいや〜用事がないからって来ちゃいけない理由はないだろ?」
「そうだけど…」
「ならよし‼っと…それよりもお前に一つ聞きたいことがあったんだわ‼ななっお前ってさ…今誰かと付き合ってんの?」
「急に何だよ…」
「いやいや〜友としては、友人の恋愛事情を把握しておきたいんだよ〜なぁ良いだろ?」
「駄目だ。というかなんで教えなくちゃいけないんだよ。」
彼の名前は吉良由人。めちゃくちゃ陽キャでいろんな人と交流を持っている。
最近では芸能事務所にスカウトされたとかなんとか…まぁ色々と噂が絶えない人物だ。
そして悪い噂は…ない。
最初俺に話しかけてきたときは、なにか目的を持って接してきたのかと思っていたがそういうわけではなかったようだ。
それに最初は彼の雰囲気に圧倒されてほとんど話せていなかったけど、いろんな活動を通してお互いのことを知ることが出来た。
その御蔭で今では良く話す友人になった。
「まぁ…一応付き合ってる人はいるよ。一応ね。」
「そうなの!?いいじゃん。」
「というか他人の恋愛よりも自分のことを来にしろよ。最近はまたスカウトされたんだろ?アイドル路線に突き進んでも良いんじゃないか?俺は応援するぞ。」
「いやいや〜流石に無理だね。アイドルとか面倒くさそうだし、規則とか特にだるそうじゃん。そんなのに縛られながら名声を得るくらいだったら、自由気ままに生きるほうが絶対にいいと思うよ。」
「そこについては俺も同感かな。自由気ままに生きてくほうが良いとは思うかな。ただ…俺は将来社畜になる未来しか見えないよ。」
「そんなことねぇだろ。お前は成績も比較的優秀なんだし、学校推薦も狙えるだろ。今のところ評定平均が4.2超えてるんだからさ。」
そう…前回のテストではそこそこの好成績を収めることが出来、今の所は順風満帆といったところだ。
しかしそれは彼も同じだ。
「いやいや…お前に至っては評定平均4.5いってるじゃん。俺よりも頭いいじゃねぇか。」
「いやいや〜そんな事ないって。だって実際の所、お前には数学も物理も生物も…理系科目は全部勝ててないもん。」
「はぁ…まぁ良いや。それで?いつまでここに居座るんだ?1時間目が終わってから既にそこそこの時間が経っているが。」
「…知らないのか?今日は1時間目が終わった後は、いわゆる自習の時間だ。というか学年全体でその時間を取っているからな。後は生徒間の交流も計ってるからな。別に良いんだよ。」
「そうだったっけ?」
「あぁ。まぁ良いじゃん。それよりも…だれと付き合ってんだよ。」
「それ聞くのか?」
「あったりめぇだろ‼」
「その変な訛りみたいのやめてくれ。」
彼には悪気がないことなんて分かってる。それに声が大きいのだってしょうがない。
というかわざとやってるだけだしな…特に気にすることはない。
至近距離かつ大きい声で話されるのは少し嫌だけど、それもしょうがないものだと俺自身考えている。
それよりも高校に入って出来たこの友達を大切にしたいという気持ちの方が大きい。
順風満帆とはとても言い難いこの現状だが、一気に崩壊することになるなんて…思ってもいなかった。
作者の聖羅です!!
32話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の7:15となります。
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