第31話 この時はまだ…

1時間目の授業が終わり、私は疲れ切って机の上に突っ伏した。

周囲でも私と同じように机の上に伏している人がいた。


私は数分休もうか…と考えていたが、どうもそれは許してくれないようだ。


「どうしたの?美奈っちが遅れてくるなんて珍しいじゃん。怪我でもしたのか?」

「美樹ちゃん…ううんそういうわけじゃないんだ。ちょっと寝坊しちゃって…」

「寝坊!?うわぁ…それはご愁傷さま。というか先生のところには言ってきたの?遅れたら報告しなきゃだけど…」

「もちろんしてきてるよ。だから安心して。それに先生に怒られなかったし。」

「へぇ〜良いなぁ…どうして怒られなかったの?」

「わかんないよ。ただ先生にはいつも良くしてもらってるから…かも?」

「ずる〜まぁいいや。それで?遅刻の理由は?」

「言わなきゃ駄目?」

「そりゃ言ってもらわないとね〜私達だって心配したんだから差。ちゃんとそこの所は説明してくれないと…」


私は美樹に促されるまま、話し始めた。


「えっとね…昨日、夜中にスマホをいじってたの。正直な所夜中にスマホなんてめったに使わないからさ、多分なれてなかったんだと思う。それで眠れなくて…」

「あ〜分かるよ。私もよく布団の中で見るからさ。でもあれ目が疲れるんだよねぇ〜」

「だよね。私、すごく目がつかれてるみたいでまだ疲れてるの。」

「それなら寝ちゃえば?美奈っち成績優秀だし、多少寝たって何も言われないよ。」

「そうかな?そうかな…」


私がうなずきそうになると、美樹の後ろから顔を出してそれを否定の声をあげられた。


「それはやめておいたほうが良い。リスクが大きすぎる。」

「ちょっと〜言わないでよ。私、ネタで言ったんだからさ。美奈っちだって真面目に受け取ってるわけ無いじゃん。」

「えっ…そうだったの?」

「そうだよ?だって寝ちゃったら色々と大変じゃん?後々に響くよ〜」

「まぁまぁ別に良いじゃない。それよりも…体調だけは崩さないほうが良いわよ。私、中学の時体調を崩してこれでもかって位苦労したんだから。」


私に話しかけてきたのは杏と志保だ。

彼女たちは彼女たちなりに思っている所があるようで、なにか言いたげな表情をしながらも私に話しかけてきた。


そしてそれからも少し他愛もない話は続き、話題が移りそうになった時…志保が私にこんな話題を振ってきた。


「あっそう言えばあれから上手くいってるの?私すごく気になってるんだけど。」

「えっそうなの?私と彼の事気になるの?」

「まぁね。私個人的にははすごく気になるね。他人の恋路を邪魔したいってわけじゃないけど、気になりはするじゃん?というか他の皆も気になってるよ。」


私は彼女たちからの視線を感じながら、質問に答えていった。


「そうだね〜じゃあ、まずは今の関係を聞きたいかな。」

「私と彼の関係?そうだなぁ…今のところ上手くやれてると思うよ。」

「へぇ〜いい感じにやれてるんだ。良かったわね。」

「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいわ。そう言えば…そっちはどうなの?付き合ってる人とは上手くいってるの?」


私がそう問いかけると、彼女は少し悩みながらも答えてくれた。


「そこそこね。結構うまいことやってるけど、それ以上ではないかな。」

「ははっ上手くやれてそうで良かった‼」

「それじゃあ私からも質問ね。彼と昨日家に行ってたみたいだけど、何してたの?」

「へっ?どうしてそのことを知ってるの?」

「そっか〜やっぱりか…最初は間違いだと思ってたんだけど、どうみてもそうだったからさ。急に聞いてごめんね?」

「ううん。別に気にしてないよ。それよりも…杏ちゃんが近くにいた事にびっくりしたよ。」


私はそう言ってから続けて話した。


「それでまぁ…私の家に彼をあげていたことについてだよね?彼をあげたたのは、勉強を一緒にしていたからだよ。」

「勉強を一緒にしてたの?私びっくりだわ。」

「そうでしょ?更にびっくりするでしょうけど、私からさそったんだよ?」

「えっ…美奈から誘ったの!?びっくりなんだけど!!急にどうしたの!?」

「別に…そんな変わったことしてる覚えはないんだけど。」

「随分としてると思うよ?だってさ…勉強をお互いに教え合ってたってことでしょ?それって休みを一緒に過ごしたってことでしょ?」

「まぁそうだけど…」

「でしょ?お互いいくとこまで行ってるならもう…やっちゃいなよ‼」

「何を!?主語がないと誤解を生んじゃうよ!?」


私は少し困惑しながらも彼女にそう返答した。

彼女は少し苦笑しながらも、私に謝ってきた。


「ははっ相変わらず引っかかってくれるの面白いなぁ〜」

「むぅ…ひどいよ。」

「ごめんって!!」



周囲からの視線を感じながらも、私は友達と比較的楽しい時間を過ごすことが出来た。

でもこの時はまだ、これから私に降りかかってくる問題に気づいてすらいなかった。



作者の聖羅です!!

31話目をお読みくださりありがとうございます!!

次の投稿は明日の24:15となります。

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