第30話 初めての失敗(+第三者視点)

「はぁ…はぁっ…」


私は今、全力で通学路を駆け抜けている。理由は単純で、既にもう1時間目が始まってしまっているからだ。

学校に行く準備をしていたら、いつの間にか時間が過ぎてしまったのだ。


ちゃんとした身だしなみで学校に登校することが出来たが、それ以上に遅れてしまったことが痛すぎる…皆勤賞を狙っていた私だったが、これでもう皆勤賞を取ることは不可能になってしまった。


正直悲しいけど、これは自分の失態だ。

本来であれば彼からの連絡を待たずにでもしっかりと寝るべきだった。

それにこのまま起こしてもらえてなかったら…もっとひどいことになっていただろう。


最悪の場合には学校そのものに行けていなかったかもしれない。

その点では妹が起こしてくれて正解だった。


あの後、私と両親とで1悶着あったがそれ以上に感謝している。

それよりも…さっさと学校に着いて、彼に昨日のことを確認しなければ‼


私はその一心で走った。

最近は運動をしていなかったためか、少し息が切れるのが早かった。

しかし一心不乱で走ると、意外にも早く学校にたどり着くことが出来た。


私は一目散に職員室へと向かい、先生を探した。

よくよく探していると、先生がパソコンと向かい合って入力をしているところだった。


「はぁ…はぁ…すみません。先生。遅れました。」

「うわぁびっくりした‼どうしたの?貴方みたいに真面目な生徒がサボりっていうわけでもないだろうし…もしかして寝坊でもしちゃった?」

「…はい。すみませんでした。」

「嘘をつかないで偉い‼遅刻ではあるけど、何か影響するわけじゃないから気にしないで。そうね…まぁダメ元で掛け合ってあげましょうか?」

「どういうことですか?」

「あら。気づいてないの?1時間目の授業は始まっているけど、親御さんから連絡ももらっていたし一応伝えてあるわ。寝坊とは思わなかったけどね。」


そう言って先生は優しく私に笑いかけてくれた。


「さて…一応聞いておきたいんだけど、遅刻の理由を教えてくれるかしら?」

「遅刻の理由…ですか。」

「えぇそうよ。勿論それで何か変わるってわけじゃないから安心して。大丈夫安心して?」

「…先生がそういうのであれば。説明します。」

「よろしく頼むわ。一応遅刻理由って欄があるのよ…それを埋めないと私も出すもの出せなくて困っちゃうのよ。」


私は苦笑しながらも、先生に話し始めた。


「すみません…ちょっと夜中に久しぶりにスマホを使ってて眠れなかったんです。あんまり褒められることじゃないってことは分かるんですけど、必要な連絡だったもので…本当にすみませんでした。」

「別に咎めることはないわ。まぁ夜中にスマホを使うことは少しどうかとは思うけど、それくらいだわ。別にそれが悪いとは思わないわ。私だってスマホを夜中に使うし、寝る前にだって使うもの。」

「そうですか…」

「まぁ気にしないで頂戴。それよりも…簡単に連絡を取り合えるようになるなんて良い時代になったものね。」


先生はそう言うと、パソコンに淡々と入力していった。

おそらく私の遅刻したことに関する情報だろう。


「ふぅ…ちゃんとこれで報告はできたから、何も問題はないわ。さてと…もう聞きたいことはないから、授業に行ってもいいわよ。」

「ありがとうございます。」

「いいのよ。それじゃあ授業頑張ってね。」


私は先生に送り出され、教室へと向かった。

誰も廊下を歩いていない事に新鮮な気持ちになりながらも、教室へと向かった。


教室を外から覗いてみると、中では既に授業が行われていた。

少し恥ずかしかったが、意を決して教室の後ろから中へと入ることにした。


『ガラガラ…』という音とともに教室の扉を開ければ、授業をしていた先生はこちらに視線を向けてきた。


「ん?おぉ…どうしたんだ?遅れてきたなんて…」

「すみません。ちょっと色々とあって遅れてしまいました。先生には報告があったと思いましたので、それで宜しくお願いします。」

「あぁ了解した。よし…じゃあ授業を再開するぞ。授業を行うに当たって、前日に連絡をしたものをちゃんと持ってきているな?」


私が席につくのと同時に先生が私達に問いかけてきた。

周囲の人はわたしのことを心配しながらも、先生の問に答えていった。


先生はその答えに満足しながらも次々と授業を進めていった。

授業は問題なくついて行くことが出来たため特に心配する必要はなくなった。





作者の聖羅です!!

30話目をお読みくださりありがとうございます!!

次の投稿は明日の24:15となります。

小説のフォローや、⭐️での評価をしていただけると幸いです!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る