第29話 なんで?(+第三者視点)

「はぁ…思ってたよりも早く連絡してきたな。連絡してくるとは思ってたけど…まさかここまで早いとは思わなかった。」


彼女は俺にメールを送ると言っていたし、送ってくるとは思っていた。

そしてそのメールに対して返答もしたし、特段返ってくることはないと思っていたのに…まさか返ってくるとは。


ここで俺は一つ思いついた。

いや思いついてしまったと言ったほうが良いだろうか?

一度メールを無視してみることにした。


普通ならあまり好まれない行為だが、別に彼女が友達というわけでもない。

彼女は俺にとってはそこまで大事な存在ではない。

だって、俺が今彼女に感じているのは『嫌悪』だ。


そんな感情を抱えている俺は、最初から彼女に対して真面目に取り合おうとは考えていない。今までの態度だって全ては目標の達成のため…


目標達成のためと何度も考えてきたが、そろそろ本格的に始めなければいけない。

というか彼女は今どんなことを考えているのだろうか?

その反応を探るためにも、今回はあえてスルーしてみることにした。


「さてさて…明日が楽しみだ。彼女がどんな反応をしてくれるか…今からワクワクがとまらないね。」


俺はそうつぶやいて、眠りについた。

そういえば最近妹も出かけることが多くなったな。またお願いをすることになるかもしれないし、今度なにかしらプレゼントでもしておくか…









藤沢美奈視点

「…どうして?どうして返事が返ってこないの?」


私は今、強烈な不安に襲われていた。

その不安を引き起こしているのは…一つのメッセージアプリだ。

私はさっきまで彼とやり取りをしていたのに、急に既読すらつかなくなってしまった。


今の時刻的に考えて、お風呂に入っている可能性もあるが…いかんせん長すぎる。

入浴しているとしても、1時間も入るだろうか?

女子や、長風呂が好きな人ならともかく普通の人であればすぐに上がってしまうのではないだろうか?


勿論、全ての人が同じとは言えない。

私だってお風呂は好きだし急ぎの用事がなければゆっくりと時間をかけて入浴している。


彼だって長風呂が好きなのかもしれない。だとしても…1時間も入るのだろうか?

のぼせてしまってもしかしたらお風呂場で危険な状況になっているかもしれない。

そう考えた私は何度か電話をコールしてみたけれど、一切繋がらなかった。


挙句の果てに、私は彼の家に向かうことが頭の中をよぎっていたが、流石にもう時間も時間なためその考えは捨てた。


そうして彼と連絡がつかないまま…私は非常にもやもやとした気持ちで床につくことになった。

彼からの連絡は夜を過ぎて、深夜の時間帯になっても来ない。

私は彼が連絡してくれることを祈って床についてからも数度スマホを確認した。


しかし眠気に耐えきれず、私は寝落ちしてしまった。


「ちょっとお姉ちゃん‼早く起きて‼学校あるんでしょ‼」

「ん…ふわぁ…おはよう。急にどうしたの?」

「どうしたの?じゃないよ‼今日は月曜日‼学校あるよ‼」

「えっ…本当だ‼やばっ…どうしよ。」


反射的にスマホを確認すると、スマホのホーム画面には8:15という驚愕の時刻が表示されていた。


「…あぁ終わった。どうしよ。」

「まだ間に合うよ‼さっさと学校行って‼」

「分かったわ。流石に時間をかけすぎたわ。というかなんでこの時間まで起こしてくれなかったのよ。」

「いつもお姉ちゃんは自分で起きてるじゃん。今日だって起きれるものだと皆、思ってたからだれも起こさなかったんだよ。」

「そっか…そうだよね。ごめんね。急に八つ当たりするような言い方して。」

「別に気にしてないよ。というかお母さんも怒ってたよ?ちゃんと話をしてこないと…」


私はそこまで言われて、思わず寒気がした。

お母さんが怒ることはめったにない。というのもお母さんはお母さんで常日頃から苦労しており、怒ることなんてめったにない。


実際、私達姉妹が怒られたことは数回しかない。

それも昔の話しで、特にここ数年は目立った喧嘩もしていない。


だから余計に身構えてしまう。

お母さんがどんなことを考えているのかは分からないけど、ここで下手な手を打ってしまえば…もしかしたらスマホの取り上げられるかもしれない。


そうなってしまえば彼と話をすることなど到底出来なくなる。

それだけは避けなければいけない。














作者の聖羅です!!

29話目をお読みくださりありがとうございます!!

次の投稿は明日の24:15となります。

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