第25話 私じゃ…嫌?(第三者視点)
桜花を連れて彼と合流した後、すぐに私達は帰路についた。
体調を考えれば長く外にいることは出来ない。外で何かをするよりも家に帰ってからするべきだ。
家には学校に行くときの2倍位の時間がかかってしまったものの、特段問題になるわけでもない。
それよりも彼の時間を取ってしまったことが申し訳ない。
彼にはリビングで待っててもらって、その間にこっちはこっちで話をしてしまおう。
「桜花?大丈夫?」
「大丈夫。私はもう寝てるから、お姉ちゃんはあの人の所に行ってきなよ。」
「良いの。とりあえず貴方は自分の心配でもしてなさい。体調不良で帰ってきたんだから、スマホとかいじらないで寝てなさいよ?」
「分かってるよ。まぁ連絡位はするかもしれないけど、それ以外じゃ使わないよ。」
「それなら良いわ。体調が悪くなったら言ってね?」
私はそこまで言ってから立ち上がろうとしたけど、桜花が私の服の裾を掴んできた。
「ねぇお姉ちゃん。」
「どうかした?」
「お姉ちゃんも顔色悪いよ?なにか悩み事でもあるの?」
私はまさか妹に指摘されるとは思わず、びっくりした。
そんなに私は自分のことで悩んでいるのだろうか…
「大丈夫よ。私の事は心配しないで大丈夫よ。」
「…あの人と何かあったの?あまりいい感じの雰囲気ってわけでもなかったけど」
「そんなことないわ。というかそれ本当?良い雰囲気じゃなかったって…」
「うん。なんだろう…あの人もあの人で、お姉ちゃんの事が何処か嫌そうだった。なんとなくだから確かなことってわけじゃないよ?」
「勿論それは分かってるから安心して。」
私は急に思ってもないことを言われ、動揺してしまった。
「それに…なんというかお姉ちゃん自身も、どう接すれば良いのか分かってないように見えちゃって…変なこと言ってごめんね?」
「良いの。私も考えてることあるから。」
「本当?悩みがあるんだったら、私にでも話してね?私も一緒に話をするから。」
「ありがとうね。でも大丈夫よ。心配しないで。」
私は妹に心配されながらも部屋を後にした。
リビングに向かおうとしたけど、どうしてか足が進まない。
妹がさっき言っていた、和真君が私の事が嫌そうだったというのはどういうことなんだろう…もしかして本当にそうなのかな?
もしそうだったら…私はどうするのが正解なの?
素直に謝る?でも何について謝ってるのかが分からなきゃ意味ないよね。それに、そもそも和真くんがどんな考えなのかわからない以上、どうすれば良いのか分からないよ。
内心で葛藤しつつも私は彼のもとに向かわざるをえなかった。
長く待たせすぎたら、彼にとっては嫌だろう。
リビングで待たせてしまっているし…彼の所にいかないと。
「ごめんね。待たせちゃって…どれくらい時間たった?」
「ん?時間の事を気にしていたの?別に気にしなくていいのに…えっと…一応15分くらい経ったかな。まぁ気にしてないから安心して。」
「それなら良かった〜待たせちゃって申し訳なくて…」
「良いの良いの。それよりも…どうする?また勉強する?」
私がそう言うと、彼は悩んだ後こう言ってきた。
「う〜ん…正直勉強はしたから…今日はもう良いかな。」
「分かった‼まぁちゃんと勉強したし、なにも問題はないね‼」
私と彼は勉強をするのではなく、しっかりとした休憩をすることにした。
彼はとても疲れているようで、休憩をしだしたらすごく眠たげな表情になっていた。
「ふわぁ…ごめん。すごい眠いわ。」
「眠いの?少し寝てく?」
「いや流石にそれは悪いし…それはしないかな。というか他の人の家で寝るのはね…」
「そう?私は友達の家で寝泊まりしたことあるけどなぁ〜」
「たしかにそうかも知れないけど…俺は違うから。俺はそんな経験ないからさ。」
「…私の家ってわけじゃないけど、ここの家は嫌だった?」
「そういうわけじゃないよ。ここの家はすごく良いと思う。清掃も行き届いてていいと思うよ。」
私は少し彼の事をからかうつもりで続けて話しかけた。
「和真くんは…私と一緒だと嫌?」
「嫌だなんてとんでもない。そんなことないよ。」
「じゃあ良いでしょ?嫌じゃないならさ。」
「えぇ…」
「嫌じゃないなら良いじゃん‼」
「別にすごい眠いってわけじゃないんだけどなぁ…眠気はあるってだけで、すごく眠いわけじゃないんだけど。」
「良いから良いから。ね?」
私はそう言って彼の手を掴んで、彼のことを自室に連れ込んだ。
作者の聖羅です!!
25話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15となります。
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