第24話 心配していること (+第三者視点)
「…相当体調悪いでしょ。」
「いえそんな事は…少しつらいだけです。」
「いやいや…表情からして辛そうだし。それに歩くのも辛そうじゃん。本当に大丈夫?」
「はい。大丈夫…です。」
美奈は彼女のことをとても心配しているようで、彼女の後ろについている。
そして万が一にも彼女に何かがあれば、すぐに動けるように準備しているようだった。
「俺が言えることなんてほとんどないけど、ゆっくり休んでね。もし必要なものがあれば買ってくるけど…」
「多分…家にあるので大丈夫です。」
「それなら良かった。」
行きの倍以上の時間をかけて美奈の家に帰ってきた。
美奈は妹を連れてどこかへ行ってしまった。
おおよそ妹さんの部屋にでも向かっているのだろう。俺は『リビングで待っててくれない?』と言われたため、その言葉通りリビングで待機している。
「ふぅ…急に何事かと思ってびっくりしたな。妹さん大丈夫だろうか?」
たとえ嘘告をしてきた人間だとしても、その家族まで避ける必要はない。
というかまだ完璧に惚れているわけじゃない。これからもっと惚れさせる必要がある。
「さて…俺は待ってる間にスマホでも見て時間を潰しますか。」
俺は彼女がリビングに戻ってくるまで、スマホを使って時間を潰すことにした。
藤沢美奈視点
一緒に楽しく勉強していたのに、急にリビングにおいてある固定電話に電話がかかってきた時はびっくりした。
固定電話にかけてくるのはお母さんか、お父さん…そして学校くらいだ。
おそるおそる電話に出てみると、妹の学校からの電話だった。
曰く、部活中に倒れそうになったとか…簡単にいえば体調不良という話しらしい。
私は彼にその事を告げて家を出ようとしたのだけど…なんと彼は私についていくと言った。
彼は私一人で行くことを心配しているようだ。
こんな状況なのに、私の事を彼が考えてくれていると言うだけで嬉しい。
彼が私を手伝おうとしてくれて嬉しいのもあるけど、それ以上に私を心配してくれてるということが嬉しかった。
彼には後で妹の名前も教えておいてあげよう。
今後、もしかしたら家に来ることがあるかもしれない。その時に名前がわからないと不便だろうし…教えても大丈夫でしょ‼
そして学校まで赴き、保健室へと向かった。
保健室のベッドでは少し辛そうな表情をした妹が座っていた。
「大丈夫?桜花。」
「大丈夫だよお姉ちゃん。ただ…少し辛いだけだから。」
私は妹と少しだけ話しをした後、保健室の先生に話しかけた。
「妹は大丈夫ですか?」
「ん?君は藤沢さんのお姉さんかな?妹さんの事は安心して。今日は湿度が高いからね…多分普段よりも疲れちゃっただけだと思うよ。一応、状態は回復したみたいだから安心して。」
「良かった…」
「ただ、妹さんに良く言い聞かせて頂戴。彼女あまり飲み物を飲んでいないようだったから、水でもお茶でもいいから部活をしている最中は熱中症対策で、ちゃんと飲むよう伝えておいて。」
「えぇ…わかりました。」
私はとても驚いた。
妹である桜花が入っている部活はバドミントン部だ。多く運動するのに飲み物を飲まないなんて…そんな事をしてたら疲労を感じるし、体調不良になって倒れそうにもなるはずだ。
「桜花…だめでしょ?お母さんもいつもいってるじゃん。飲み物は飲まなきゃ駄目って。」
「う〜ん…なんて言えばいいのかわからないけど、部活に集中すると疲れを感じないと言うか…そんなに喉が乾いてないように感じるんだよね。」
「分からなくはないけど…それでもちゃんと飲まなきゃ駄目よ。」
「うん。」
「分かったなら大丈夫ね‼家に帰ろっか。人待たせてるし。」
「?だれかいるの?」
「前に桜花に言ったじゃん。その…付き合ってる人よ。」
『彼といきなり対面させるわけにはいかない。』と私は考えて、桜花には彼の事を夏休み前くらいからある程度教えておいた。
一応は付き合っている事になっているし、嘘告だというのもバレていない。
私や友達が彼に明かさない限り、よっぽどのことがなければ気づかれないだろう。
ただ…美樹がどんな行動に出るかわからないのが怖い。
もし彼女がその気になれば、和真くんに真実を伝えて私達の関係を壊すことだって出来てしまう。
もしそんな事をすれば、彼女自身も彼に嫌われることになる。
でもどんな行動に出るのかがわからないのが人間だ。
そこが唯一私が心配している点だ。
作者の聖羅です!!
24話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15となります。
週間ランキングが3位になってしまいました…少し悲しいです!!
小説のフォローや、⭐️での評価をしていただけると幸いです!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます