第23話 それはそれとして…
「へぇ…ここはこんな公式を使うんだ〜」
「そうだよ。学校で習った範囲だけど…難しいもんね。俺も最初は出来なかったもん。」
「そうなの!?意外だな〜」
「そうかな?まぁ公式さえ覚えればどうとでもなるよ。まぁ応用はそれだけじゃ難しいものもあるけど…」
「応用問題ね〜私は解ける気がしないよ。」
そう言えば今回のテストでも応用問題が数問出た。
お陰で終了時間ギリギリまで解かされることになったけど…点数的には上々のはずだ。
あの応用問題はなかなかに難しかった。おそらく正解している人は少ないだろう。
「さて…勉強を始めてから、2時間がたったしそろそろ休憩しようか。」
「うん‼あっそうだ‼何か飲みたいものとかある?有れば持ってくるけど…」
「あ〜それならお茶をお願いしてもいいかな?」
「分かった‼」
そう言うと彼女は自室を飛び出して一階にあったリビングに走っていった。
俺は彼女が上がってくるまでに、再び教科書を眺めることにした。
…彼女がお茶を取りに行ってから数分経った。
俺は少し心配になり、1階のリビングに向かった。
「美奈?大丈夫?」
俺が話しかけると、彼女はびっくりしたような顔をした。
そして俺の顔を見てホッとしたように息をついた。
「ごめんね。お茶はあったんだけど…急に電話がかかってきて。」
「いや大丈夫だけど…誰からの電話?」
「妹の通ってる中学校の先生からだったよ。なんでも、部活中に少し体調を崩しちゃったみたいで…迎えに来てほしいって言われたんだけど、あいにく両親は出払っちゃってるし…」
「なるほど。…どうするの?」
「一応、両親が今仕事に出てるってことは伝えてあるんだけど…学校にいさせるわけにもいかないし、迎えに行くしかないかな…」
急にこんなことになるとは彼女も思わなかっただろう。
彼女にはあまりいい思いを抱いていないけど、彼女の妹を心配する気持ちは本当だ。
嘘告されたことは許せないけど…それとこれとは別だ。
「迎えに行くか…でもその場合、帰りはどうするんだ?」
「そうなんだよね…私だけだったら問題なく帰ってこれるんだけど、流石にね…歩かせるってわけにもいかないし。」
「う〜ん…体調不良なんだよな?歩けないほど重症なのか?」
「どうなんだろ…そこまでは教えてくれなかったし、どうすれば良いのか…」
「それなら学校の先生に一応確認を取ったほうが良いと思う。」
俺がそう言うと彼女は少し決心して俺にこう告げた。
「私、今から行ってくる‼和真君はここで待ってて‼」
「いやいや…美奈が行くのに俺一人ここで待つのは申し訳ないよ。俺もついてくよ。ちなみにどこの中学校に通ってるの?」
「えっと…西中だけど。」
「あ〜俺が通ってた中学校じゃないか。まぁそれでも美奈と一緒に行けば大丈夫…かな?」
流石に知らない人が単独で来たら、相手方の先生たちもびっくりしてしまうだろう。
でも顔を知られている人と一緒に行くのなら…大丈夫かも?
俺はそこら辺について詳しくないから、大丈夫なのか判断できなかった。
とはいえ彼女一人に行かせることは出来ない。
「分かった。ごめんね急にこんなことに巻き込んじゃって…」
「良いの良いの。それよりも妹さん迎えに行くんでしょ?早く行ったほうが良いんじゃない?」
俺は上着を羽織り、玄関で待っていた。
彼女も少し着替えてから行くようだ。
「ごめんね。それじゃあ行こうか。」
「分かった。ここからどれくらいかかるの?」
「えっと…歩きだと10分くらいかな?走れば5分とかかも?」
『10分か〜意外と歩くな。』と内心思いつつも、それを顔に出すことはなかった。
彼女はやはり心配しているのだろう。歩く速度がいつもよりも速い。
俺はあえてその事を指摘したりせずに、彼女のスピードに合わせた。
「ふぅ…ここだよ。受付の人に話をしてくるから、ここで待っててくれない?」
「分かった。俺はここで待ってるから、終わったら来てくれ。」
俺はその言葉通り、校門で待つことにした。
数分後…彼女は妹さんを連れてきたようだ。
「大丈夫だった?」
「うん私は大丈夫。それにこの子も歩けそうだから心配しなくても大丈夫そう。」
「それなら良かった。」
俺はそういった後、こちらに視線を向けてくる彼女に向かって話しかけた。
「こんにちは。体調不良って話を聞いたんだけど…大丈夫かな?」
「…大丈夫です。それよりもすみません…お姉ちゃんとの時間を邪魔しちゃって。」
「ん?あぁ…そんなの気にしないでいいよ。」
彼女の顔はとても健康と言えるような感じではなかった。
顔面蒼白とまではいかないものの、体調を崩してるのが分かるような顔つきだった。
作者の聖羅です!!
23話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15となります。
週間ランキング2位を早くも達成することができ、本当に嬉しいです‼
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