第22話 彼女の家にて…
土曜日…俺は彼女の家に向かって歩いていた。
彼女の家は意外にも家から近く、数十分歩けば問題なくつくことが出来るだろう。
よっぽどの事がない限り遅れたりすることもないだろう。
「にしても急に誘われるとは思わなかったな。それに家って…一体どういうつもりなんだ?」
俺は彼女の狙いが分からず、混乱していた。
普通のカップルであれば相手の家に誘われたらとても嬉しいだろう。だが、俺と彼女は違う。俺と彼女はそんな簡単に片付けられるものではない。
少なくとも俺は彼女にいい思いを持っていないし、彼女が俺にどういう考えを持っているのかもわからない。でもこれだけは言える。
好きでもない相手を自分の家に招くことはないはずだ。勿論例外はある。友達を家に呼んだりすることはあるだろう。だがどちらにせよ親しい仲でなければ、そもそも呼ぶこともないだろう。
「えっと…あそこか。あいつの家にまでは行ったことがなかったから分からなかったけど…随分とでかいな。」
見た所、俺が住んでいるあの家の2倍はあるだろうか…こんなに部屋数が多くても使い切れない気がするのは気のせいだろうか?
彼女は家の前につき次第、連絡をしてくれと言っていた。
俺はその言葉通り、電話をかけることにした。
「もしもし?今ついたよ。」
『あっおはよう‼ついたの?ちょっとまってて。今から玄関を開けるから‼』
彼女はそう言って電話を切った。
数分後…私服姿の彼女が玄関を開けて出てきた。
「おはよう‼今日はよろしくね‼」
「あぁよろしく。ちなみに家族は大丈夫なんだっけ?」
「あ〜大丈夫だよ。安心して。ただまぁ…妹がいるんだよね。」
「へぇ〜妹がいるんだ。俺と一緒じゃん。俺にも妹がいるよ。」
「そうなの!?」
「まぁね。」
俺は彼女と雑談をしながら、案内されて彼女の自室へと案内された。
彼女の自室は女の子らしい部屋だった。
「お〜良いね。女の子らしい部屋というか…可愛くて俺は好きだよ。」
「本当!?ありがとう!!」
「それに…なにかいい匂いもするね。この匂いは?」
「あっ気にしないで‼ちょっと最近気になってた物を買って、試してるだけだから‼」
いい匂いがするとは思っていたけど…これは何なんだろう?
アロマが一番近いかもしれない。ただ、アロマにしてはなんというか…少し変な気がする。
とはいえ、そこまで気になるような匂いではないし別に気にするほどでもない。
「よし‼それじゃあ早速勉強を始めよ‼まずは私が、国語教えてあげるから持ってきた物見せて‼」
「一応教科書を始めとして幾つか持ってきたけど…どれ使う?」
俺は教科書や授業で使ったノートを始めとした様々なものを持ってきている。
そしてそれらを彼女の前に差し出した。
「う〜ん…まぁ教科書が一番わかり易いだろうし、教科書を使おうかな。他にもこのドリルなんかは良いよ。これさえ有れば、ある程度の点数は取れるから‼」
「本当か?」
「本当だよ。実際、私はこのドリルしかやってないし。それであの点数を取れたからね。だから安心して‼」
「…分かった。それじゃあよろしく頼む。」
「そんなに固くならないでいいよ‼よし‼一緒に頑張ろうね‼」
彼女の教え方は意外にも上手だった。国語に関して言えば彼女は俺よりも頭が良い。
俺は自分なりの解き方で問題を解いてきていたが、ちゃんとした解き方というものがあるようだ。
それと、考え方を数学や理科に近づけてみると更に理解することが出来た。
なんと言えば良いのだろうか…やっていることとは違うものの、考え方を変えるだけでなんとなく分かるようになった気がする。
「なんとなく理解できたな。結構いい感じに理解できてる気がするよ。」
「そう?良かった〜私、こうやって教えるの始めてだったからさ。本当に良かったよ‼」
「本当に助かるよ。ふぅ。それじゃあ一段落した所で…数学を教えれば良いんだっけ?」
「うん‼数学を教えてくれると嬉しいな‼」
「分かった。えっと…どこを教えればいいの?」
そう言うと彼女はどこからか数学の教科書を取り出して、俺に見せてきた。
「この問題が分からなくて…和真くんは分かる?」
「勿論分かるよ。ここは、公式を使えば簡単に解けるから慌てる必要はないよ。ゆっくりと時間をかければ解けるから。」
作者の聖羅です!!
22話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15となります。
週間ランキング2位を早くも達成することができ、本当に嬉しいです‼
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