第21話 次に向けて…
テストが終わり、クラス中が良い雰囲気になっていた。
テスト期間中は、やっぱり皆気が立っているようで苛々していたりしていた。流石にクラスメイトに話しかけられたら、その苛つきを隠すけどやっぱり隠しきれない人もいた。
とはいえ無事にテストを終えることができてよかった。
今日からテストが返ってくる。緊張の瞬間だ。
「おはよ‼和真君‼」
「おはよう。美奈。今日はテストが返ってくるけど…どう?テストの方は。」
「う〜ん…今回は少しやっちゃったからね…もしかしたら低いかも。」
「そっか。でもまぁ今回のテストで落としたからと言って、悪いってわけじゃないからね。それに一学期の時のテストは全く問題なかったんでしょ?」
「まぁね‼成績はやっぱりちゃんと取らないと。行きたい大学に行けないからね。」
彼女はそう言った後、俺に同じことを聞いてきた。
「和真くんはテストの成績はどうなの?一学期はどれくらい取れてる?」
「国語以外は問題ないかな。物理とか数学とかは得意科目だし。まぁ…社会科というか歴史や公共は少し怪しいけど。」
「へぇ〜和真君でも苦手な事の1つや2つあるんだ‼」
「まぁね。俺だって人だし苦手なことの1つや2つあるよ。」
事実ほかにも俺には出来ないことや、苦手なことがある。
例えば俺は料理ができない。努力しようとしても、簡単なものくらいしか出来ない。
妹は様々な料理を作ることが出来るし、なんなら俺のために料理を作ってくれたこともある。
まぁ料理については…いつか努力して頑張ってみたい。
「意外だったな。私は和真くんって結構きっちりしてる人って思ってたからびっくりしたよ。」
「はは。俺はそんなきっちりしてる人じゃないよ。」
「う〜ん…和真くんは国語が苦手なんだね。よし‼私が国語について教えてあげるね‼」
俺は思わずため息を付きそうになったが、必死に堪えた。
忘れてはいけない…眼の前の女は、俺のことを騙そうとしている人間だ。
とはいえ…こんな所で断ったら彼女に不信感を抱かれてしまう。
そして彼女の国語の点数が高く、順位も高いのもまた事実…
そこで俺は彼女の提案に乗ることにした。
「…よし‼じゃあお願いしてもいいかな?」
「うん‼私に任せて‼私が和真くんの国語の成績を上げてあげる‼」
彼女は満足げな表情を浮かべた後、再び話しかけてきた。
「…私ね、数学が苦手なの。和真くんって数学得意だよね?」
「ん?まぁ数学は得意だけど…それがどうかした?」
「えっとね…私に数学教えてほしいの‼お願いできないかな?」
「分かった。俺も国語を教えてもらうんだし、俺もなにか出来ることはないかなって思ってたところだよ。そういうことなら任せてくれ。」
俺は受けた恩には必ず報いる男…その証拠に、俺は妹にあの美容室を教えてもらった後、高いアイスやらお菓子を沢山買った。
妹は大層喜んでくれたけど…俺の財布にはダメージが大きかった。
まぁそこは関係ない。とにかく、俺にとってもいい話だ。だったら彼女にも同じくらい恩を返すべきだ。
「本当!?ありがとう!!」
「当然のことをするまでだよ。お互いの苦手なものを補えるんだから、それに越したことはないじゃん?」
「うん‼そうだね‼」
「ふぅ…とはいえ、日にちとかを決めないと俺は動けないよ。他にもどこで勉強するのかとかさ。」
「それはそうかも‼う〜ん…どこなら集中できるかな?」
彼女は真剣に考えだした。
俺は少し苦笑しながら自分のしなければいけないことを片付けていた。
なぜならこの後は授業があるからだ。テストが終わったとはいえ、授業がないというわけではない。
「あっ‼それならいい場所があるよ‼」
「思いついたの?」
「私の家なんてどうかな?多分日にちを調整すれば、両親もいないと思うよ‼」
「えっそれ大丈夫なの?」
「大丈夫‼私の両親には友達が来るとでも話しておけばいいから‼」
「それは…良いのかな?」
「私が良いって言ってるんだから大丈夫‼」
少し強引な気もするけど…場所が決まったなら話も速い。
「分かった。場所はそこにしよう。それじゃあ次はいつにするかなんだけど…」
「それなら…今週の土曜日とかどうかな?今週の土曜日なら、うちはいないんだけど…」
「ちょっとまってね…確認してみる。」
俺はスマホのカレンダーを確認した。
カレンダーには今週を含め、来週の予定なども入っている。
「おっ今週は大丈夫そうだ。それじゃあ土曜日にお願いしてもいいかな?」
「分かった‼」
俺は彼女と土曜日に勉強をすることになった。
作者の聖羅です!!
21話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15となります。
週間ランキング2位を早くも達成することができ、本当に嬉しいです‼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます