第20話 彼をかけた勝負
「そう勝負‼分かるでしょ?」
「いや…えっ?」
「私と貴方で彼をかけて勝負するの。どう?」
私は彼女の話している事が一瞬わからなかった。
「彼をかけて…勝負?」
「そうよ。具体的に説明しないと分からないだろうから、今から説明してあげる。」
そう言うと彼女はどこからか紙とペンを取り出して机の上に置いた。
そしてスラスラと書き出した。
「良い?私達はこれから和真くんのことをかけて勝負をします。ルールは簡単。彼のことを先に落とすことができたら勝ち。」
「…そのルールだと、私の方が圧倒的に有利なんじゃない?」
「いや?そうでもないよ。確かに私よりも関係は進んでいるかもしれない。でもさ…私にはまだまだ考えがあるんだよね。」
「どういう事?」
「まぁまぁ気にしないで。私は私で動くからさ。それじゃあ…これで良いかな?」
私は疑問を覚えながらも、彼女の問に同意した。
「ふぅ…それじゃあ少しの間、私達は恋敵になるわけだ。」
「そうなるのかも?」
「まぁそんなに気にしないで。最初にも言ったけど、喧嘩をしたいわけじゃないの。それにお互いテスト終わったばかりだし、面倒くさいことなんて槍たくないでしょ?」
「それは…そうね。」
「まぁ私以外は、彼のことをそんなに好きってわけじゃないみたいだから、心配しなくても大丈夫だよ。」
彼女の言う通り、私と美樹意外の皆はそれぞれ思っていることがあれど『好き』というわけではないらしい。
「…分かった。」
「そうでなくっちゃ‼一つ聞きたいんだけど、いつから彼のことが好きになったの?もう少し詳しく聞きたいな〜」
「えっ!?」
「教えてよ〜私だって気になるんだよ?」
私は少し恥ずかしさを覚えながらも、話し始めた。
「私が彼のことを好きになったのは…やっぱり夏休み明けのあの日かな。今までの彼とは違って、すごく印象が変わってて…びっくりしちゃった。それに、彼が私に優しくしてくれたのもきっかけかな。」
「うわぁ…びっくりするほどのちょろインじゃん。」
「ひどい‼私ちょろくないよ‼」
「いやいや…ちょろいよ。優しくされただけで惚れたら完璧にちょろインだったのに…」
「美樹ちゃん!?私になにか変な噂が立ちそうだからやめて!!」
美樹ちゃんの言う通り…私はちょろいのかもしれない。
言われてみれば雰囲気と印象が変わっただけの相手に、好感を抱くし優しくされただけで好きになるとか…
「はぁ…」
「私の言った通りでしょ?」
「いや…うん。言われてみるとたしかにそうなのかもしれないなって思う。」
「まぁ良いや。そんなことよりも、彼とはいまどんな感じなの?」
「そんなことって…ひどいよ。」
「まぁまぁ…ね?」
「…はぁ。今は結構いい感じの関係を築けてると思うよ。」
私がそう話すと、今まで興味なさげだった彼女たちも聞き耳を立てているようだった。
「へぇ〜いいじゃん。それで?どこまでいったの?キスした?」
「そんな事出来るわけ無いじゃん‼手を繋ぐのだって結構緊張したのに…キスなんてしたら、私死んじゃうよ…」
「嘘でしょ!?キスくらいしてると思ったんだけど…もしかして彼って奥手だったりする?」
「わかんない…奥手なのかもしれないけど…」
「はぁ…駄目じゃん!!勝負するとか言ってた私が言えることじゃないけど、美奈っちは全然勇気がない!!これ以上関係を進める気がないの?」
「いや…関係は進めたいんだけど…」
彼はとてもかっこいい。
特に今の彼はとても魅力的で、気を抜いたら他の女に取られてしまわないか心配だ。
「だったらキスくらいはしないと駄目だよ‼あのね?付き合ってるんだったら、キス位はして当然よ‼」
「えぇ…そうなの?」
「そうだよ‼もしかしてだけど…キスについてどういう印象持ってるの?」
「えっと…男女が唇を合わせるやつでしょ?」
「うん。合ってるね。ほかは?」
「キスって…結婚してからするものだっけ?」
「なわけないじゃん‼確かにドラマとか、映画とかではよくあるけど‼別に付き合ってるならキス位はするよ‼」
「そうなの?」
美樹ちゃんは深い溜め息をついてから、私にこういった。
「はぁ…とにかく、キスくらいはしないと駄目だよ‼彼がちゃんと美奈っちの事が好きなら、求めたらちゃんと返してくれるから‼」
「求めるって…無理だよ。」
「頬を朱に染めても意味ないよ‼ちゃんとキスしてくるんだよ。」
他の皆も途中までは興味深そうに話しを聞いていたのに、私がその話しをしだすと呆れたようにして各々で再び遊びだした。
「キス…キスか〜」
私はキスという言葉をつぶやきながら彼のことを頭のなかに思い浮かべていた。
今日はテストが終わったことの安堵と、心労でつかれた…
作者の聖羅です!!
20話目をお読みくださりありがとうございます!!
今日は昼にもう一本投稿します‼
次の投稿は本日の12:15となります。
週間ランキング2位を早くも達成することができ、本当に嬉しいです‼
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