第17話 私の心
藤沢美奈視点
私は胸の中にはびこる初めての感情に困惑していた。
こんな感情になったのは初めてで分からない。和真君が他の人と話をすると胸がムカムカする。
特に和真くんが他の女子と話をしているのを見ると、それが最高潮になる。
男性と話している間はほとんど何も感じないけど、女の子が絡むと途端にその感情が溢れてくる。
今はテスト期間に入りつつあるのに、私の頭の中は彼に関する事しか入ってこない。
彼が好きな物や趣味…それを知ることができてとても嬉しかった。
でも時々こう思う。
私は結局どうしたいんだろう…と。
罰ゲームから始まった関係だけど、私はこの関係を続けていきたい。
図々しいと言われるかもしれない。
付き合い始めた時の彼に抱いていた感情とは全く違う。今の彼に抱いている感情は、好意だ。
彼が私に対してどんな感情を持っているのかは分からないけど、少なくとも悪く思ってはないと思う。
彼と一緒に遊びに行ったあの日が忘れられない。
それ以前の…夏休みが明けたときから、私はおかしかった。
毎日彼と会うのが不思議と楽しくなっていたし、期待していた。
でも私は嘘告をした人間だ。彼がこの事実を知ったら私の事をどう思うんだろう?
結局のところ、私は卑怯な人間だ。
最初の頃は、遊び感覚で一緒に居たのに彼が努力して変わったら、好きだと言うひどい人間だ。
でもそれでいい。今の私にとっては些細なことだ。
しかしそれを果たすためには、あの場にいた人たち全員に黙ってて貰う必要がある。
変わった彼はとてもイケメンだ。
万人受けする顔をしているから、私達同年代は勿論年下から年上の人たち全員から好意を受けるだろう。
私も自分磨きをして頑張っている。
でもどれだけ必死に努力しても勝つことのできない美貌の持ち主はいる。そんな人が彼によっていったら…簡単に今の関係は終わってしまうだろう。
まず第一に私がするべきことは、ちゃんとあの場にいた全員と話し合うことだ。
あの場にいた全員と話をして、どうにかして私の思いを伝えなければいけない。
「はぁ…あんまり気が乗らないなぁ…」
でもここをちゃんとしておかないと、私は完全に孤立することになる。
友達との約束をちゃんと守って、彼と別れるか…
それとも、友達との約束を破ってでも彼と付き合い続けるか…
前者の方が圧倒的にリスクは少ないし、なんとでもなる。
後悔するかもしれないけど、今まで通りにやっていけるだろう。
後者は後者でリスクが大きいが、それでも許容できる範囲内だ。
友達を失ったとしても死ぬわけじゃない。彼と一緒に過ごしていけばいいだけだ。
「でもまずはちゃんと話しをしないと…」
テストまでは残り一週間を切っている。
あの自習での一件以降、彼は私が話した通りあまり他の生徒と話をしていなかった。
勿論、必要最低限の会話はしていたし私もそこまで縛ろうと思ってない。
そもそも縛ろうとすれば彼は自然と私から離れていってしまうだろう。
だから『お願い』という方法を取ったのだ。
テストを終えたその日の内にでも、あの場にいた全員を呼び出して話し合いをしなくちゃ…
テストは合計で4日間行われる。
四日目は最終日ということで、全員気分が良いはずだ。
険悪な雰囲気にはしたくないけれど、この話をして全員を納得させるなりしないと…
彼女たちだって夏休みを経て変わった彼にとてもびっくりしていた。
そして彼女たちの態度は…以前と変わっていた。
以前までは全く興味なさげだったけど、夏休みが過ぎて彼と会ってからはあからさまに態度が変わっていた。
彼のことを見る視線は、獲物を見つけた猛獣のようだった。
そう…もしかすると、彼女たちもまた私と同じように彼のことが好きになってしまったのかもしれない。
特に彼女…美樹はその傾向が強い気がする。
もしかすると彼女は、いろいろと仕掛けてくるかもしれない。
例えば…私と彼が別れるように仕向けてきたり、私が別れないようであれば罰ゲームのことを彼に伝えるかもしれない。
もし罰ゲームの事が彼に伝われば…私には居場所がなくなる。
友達と彼…どっちかを取ることになるかもしれない。
そうなった時…私は彼のことを取りたい。
でも、今まで一緒の道を歩んできた彼女たちとの関係を崩したくもない。
私は結局どの道を選べば良いんだろう…
作者の聖羅です!!
17話目をお読みくださりありがとうございます!!
諸事情により、数日以内に1日の投稿数を2話から1話に変更させていただきます。
私の作品を楽しみにしている皆様には申し訳ありませんが、ご理解いただけると幸いです。
今後とも私の作品をお楽しみいただけると非常に嬉しいです。
週間ランキング2位を早くも達成することができ、本当に嬉しいです‼
これも全て皆様のおかげです‼長くなってしまってすみません。
次の投稿は本日の12:15となります。
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