第16話 嫉妬?それとも…
「ねぇねぇ和真君」
俺が勉強を進めていると再び鈴谷に話しかけられた。
彼女が話しかけてきた理由は一体…さっきの問題で分からないところでもあったのだろうか?
「どうしたの?鈴谷さん」
「さっきとは別のこの問題教えて欲しいんだけど良いかな?」
「ん?あぁ…」
鈴谷が指さしている問題は、解くのに少し工夫がいる問題だった。
簡単に言えば応用問題だ。
さっき基礎を理解した彼女にとって、この問題は難しいと思う。
それに先程から視線が痛い。
どこからの視線かと言うと、彼女…藤沢美奈からである。
まるで俺のことを悪者扱いするような視線だ。
後で何か言われるかもしれないけど…今は無視するか。
「ここはね。さっきの問題の応用だから、簡単だよ。まずはここの部分が同じだから、さっきと同じように式を組み立てられる。」
「うんうん。そこは私も分かるよ。」
「分かってるなら次のステップも行けるよ。これはさっきの問題の応用問題だから、数回練習を繰り返せば問題なく出来るようになるはずだよ。」
「なるほど‼ありがとうね。」
彼女はそう言いながら、ノートに俺の説明をメモしていた。
そして俺は再び勉強を…と思ったその時だった…
「ねぇねぇ和真君」
またも鈴谷が話しかけてきた。
今度は一体なんだ?と思いながらも、彼女の方を見た。するとそこには少し顔を赤くした彼女がいた。
「どうしたの?分からないところでもあった?」
「いやね?そういう訳じゃないんだけど…」
彼女は更に顔を赤くした。
もしかして何かあるのだろうか?
「教えてくれて本当にありがとう‼」
「別に大丈夫だよ。そこまで気にしてないし。それに、鈴谷がそこまで気にする必要はないよ。人のことを頼ることは恥ずかしいことじゃないと思うし。」
「ありがと‼それはそうとして、また今度わからない所があったら教えてくれない?」
「予定が埋まってたりしてなければいつでも大丈夫だよ。存分に利用してくれ。」
俺は彼女にそう伝えた後、再び机と向き合った。
机の上にはテストの提出範囲などが記載されている紙がある。これと教科書やノートなど参考になるものを一緒に机の上において勉強するのが自分なりのやり方だ。
しっかし…どうするべきか。
目標を達成するのに必要な手順として一番重要なところを果たせていない。
それは彼女たちがどう思っているのかだ。
彼女たちの裏の顔を知った時のようにして、なんとかどう思っているのか本心を聞きたい。
もし、藤沢美奈が俺のことを好きだと漏らすのであれば俺の勝ちだ。
しかしこれからテスト期間に入るということもあって、彼女たちも勉強モードに入りつつある。だから狙い目は…テストが終わったその日くらいだろう。
ただテストが終わったその日、彼女たちが教室で話す保証なんて無い。
ましてや教室にいる必要性なんて無いだろう。
「はぁ…困ったな。」
俺はそう吐露した。
そういえば、藤沢美奈がまだこっちに視線を向けてきている。
一体どういうつもりなんだろう?
昼休みになった。
俺は大きく背伸びをしてから席を立って、学食に向かうために財布を取り出そうとしていた。
そんな俺が財布を取り出して立ち上がると、眼の前には藤沢美奈が居た。
「お昼一緒に食べない?」
「…俺、今日弁当持ってきてないんだけど。」
「そういうと思って2つ作ってきたの‼」
「ありがとう。でも流石に悪いからね。次からは大丈夫だよ。」
「良いの‼私が好きでやってるんだから。」
そう言ってから彼女は俺の制服を掴んで歩き出した。
俺は引きづられるようにして後をついて行った。
彼女が向かったのは屋上だった。
今も屋上を利用できるがあまり屋上を利用する人は多くない。
それに…今日は運がいいようだ。誰も屋上に居なかった。
「ここなら誰も来てなさそうだからゆっくり食べれるよ‼」
「確かにそうだね…」
俺はそう言いながらも、少し疑問に思った。
「ねぇ和真君?私聞きたいことがあるんだけど。」
「…どうかしたの?」
「さっき…鈴谷さんと話をしてたみたいだけど…」
「あぁ…それなら勉強の分からないところを教えてあげただけだよ。」
俺は彼女にそう答えた。
「本当にそうなの?」
「本当だよ‼それに藤沢さんだって俺に聞きたいところとかあったら、普通に聞いてくれて良いからね?」
「うん‼そうさせてもらうね‼」
そう彼女は答えた後、俺に弁当を手渡してきた。
「ありがとう。」
俺は彼女にそう告げた。たとえどんな相手でも、もらったものに対してお礼を言わないのは問題だ。
「ふふ…このお弁当ね?私なりの努力が詰まってるの。」
彼女はそう答えた。
俺は弁当の蓋を開けてみると、彼女の努力が伺えた。
作者の聖羅です!!
16話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15になります‼
是非見に来てくださいね‼
深夜に投稿するのは理由があり、ちょっとした調査を兼ねていますのでご容赦ください。
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