第14話 彼女の目標
翌日…俺と藤沢美奈は一緒に登校していた。
先日、帰宅した後の話だ。彼女は俺に電話をかけてきた。
電話越しに彼女は明日一緒に学校に行きたいと伝えてきた。
俺は普段から早く学校に行くように努めていたが、今日は合わせることにした。
正直な所、遅く行くことにメリットを感じないが…しょうがない。彼女に合わせれば目標達成にも自然と近づくだろう。
そして彼女に指定された場所で俺は待つことにした。
彼女が指定してきたのはお互いの家からちょうど同じくらいの距離が離れている所で、彼女の家に近すぎるとか、逆に俺の家に近すぎるということもない。
そういった所はちゃんと考えてるんだな…と考えながら俺は待っていた。
他クラスの人や、他の学年の人の視線に晒されながら俺はスマホを片手に待っていた。
「はぁ…はぁ…遅れてごめんね‼」
俺がスマホから視線を外し、声の方向を向くとそこに彼女がいた。
彼女は肩で息をしていたが、すごく疲れているというわけでもなさそうだ。
だがすぐに歩き始めるのは酷な話だ。そこで俺は彼女の呼吸が落ち着くまで待つことにした。彼女は走ってきたようで、落ち着くまでには時間がかかった。
「ごめんね?私から誘ったのに、遅れちゃって…」
「いいよ。別に俺は気にしてないからさ。別に走る必要はなかったのに。」
「ううん。そういうわけにはいかないよ。待たせちゃってるわけだしね。」
「分かった。まぁとりあえず学校に行こう。流石にこれ以上遅れると、遅刻になっちゃうよ?」
「あっそうだった‼急がないと‼」
そう言えば彼女が学校を休んだことは一度もなかった。
皆勤賞でも狙っているのだろうか?他人の心を覗くことはできないけど、だいたいの事は分かる。
「急ぐの?皆勤賞でも狙ってたりする?」
「うん‼私、小学生の頃から一度も学校を休んだこと無いんだ〜それに早退や遅刻だって無いんだよ?」
「それはすごいな。俺は少なくとも数十回は休んでるし、遅刻や早退だってあったしな…そう考えると、すごいね。」
「でしょ?私、今まで休んだこと無いんだ〜高校でも同じように休まないで頑張りたいと思うの‼」
「応援してるよ。」
目標が達成された時…どうなるかが見ものだな。
しっかりと学校に来るのか…それとも休むのか。どっちに転んでも面白いことになりそうだ。
それから数分後には学校についた。
すぐに教室に入り、担任が来るのを待った。
今日はどことなく皆騒がしかった。
先生が教室に来るのが遅れているからだろうか?
そして俺と彼女がこの教室に入ってきてから数十分…教頭先生が入ってきた。
担任でないことに困惑しながらも、教頭先生の話に耳を傾けた。
「皆さんおはようございます。今日は皆さんに悲しいお知らせがあります。」
「悲しいお知らせ?」
クラスがざわめき始めた。そして教頭先生はゆっくりと口を開いた。
「担任の川田先生ですが、高熱のため本日はお休みとなりました。」
「うわぁ…高熱か…可愛そう。」
俺は思わずそう呟いてしまった。しかし、今の時代熱を出すことは珍しくない。そう考えるとそこまで不思議ではないはずだ。
クラスメイトは口々に川田先生に対しての心配の言葉を口にしたが、すぐに次の今日の授業に関する連絡事項が伝えられたため、みんな一斉にそちらの方に集中し始めた。
「今日の授業につきましては、担任の川田先生の分に限り自習となります。自習監督には私がつく予定ですので皆さん宜しくお願いしますね?」
教頭先生はそう言い残して教室から出て行った。
それから教室は川田先生の高熱に関する話題で持ちきりになった。
「川田先生大丈夫かな?」
彼女がそう言って俺に話しかけてきた。
川田先生にはなにかとお世話になっているし、俺も心配だ。
「分からない。まぁ多分大丈夫だと思うよ。」
「そうだね‼それに川田先生が休んだの久しぶりにみたよ‼」
「俺も久しぶりだよ。いつも元気いっぱいで熱を出しそうなイメージ無いし…」
先生はいつも元気で明るい人だ。生徒のことを第一に考えてくれるし、困ったことがあれば助けてくれるいい先生だ。
そんな先生がまさかの高熱を出すとは……明日には元気な姿を見せてほしいものだ。
「そうだよね〜!!私、川田先生の授業好きだから休んで欲しくないな!!」
「そうだね。まぁ今日の分は自習になるみたいだし、一応予習しておくか…」
俺は川田先生が復帰した時の授業に向けて予習をしておくことにした。
予習するのはやっぱり大切で、授業の内容が理解しやすくなるのは勿論他にも様々な利点がある。
これからは少しでも予習してから授業に望むか…
作者の聖羅です!!
14話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は明日の24:15になります‼
是非見に来てくださいね‼
深夜に投稿するのは理由があり、ちょっとした調査を兼ねていますのでご容赦ください。
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