第7話 平然とつかれた嘘
「ちょっと…冗談きついよ?」
「あはは!!ごめんごめん!!いや〜それにしても随分とかっこよくなっちゃって…夏休みに何かあったの?」
俺に話しかけてきたのは、片岡美樹という黒髪で美人な感じの人だ。
なんとなくだが、もしこの高校の校則が緩かったら金髪にしているイメージがある。
「心境の変化というか…やっぱり夏休み前の俺だと正直釣り合わないと思ってね。だから自分の事を変えようと思ったんだ。」
「へぇ〜随分と一途なんだね‼私も君みたいな彼氏がほしいなぁ〜」
「はは‼片岡さんは俺なんかよりもいい人に出会えると思うよ。」
正直眼の前の奴らとは話たくもないが、ここでそんな態度を取ってしまえば俺の目標を達成できなくなる。
俺が今するべき最適な行動…それは、表面上だけでも彼女たちと仲良くすることだ。
彼女たちと仲良くすることで様々な情報が手に入るかもしれない。そう考えれば嫌悪感を隠し、仲良くすることのメリットは大きい。
「良いこと言ってくれるじゃん‼正直、私達心配してたんだよね〜」
「心配?どういう事?」
「ん?いやさぁ〜美奈っちが選んだ人にとやかく言うつもりはなかったんだけど、選んだ人が人だったからさ。正直な所、何かあるんじゃないかって疑ってたんだよね〜」
こいつ…平然と嘘をつくタイプなのか。
「へぇそうだったんだ。俺も最初はびっくりしたよ。どうして俺を選んだんだろうって。…そうだ‼今教えてよ。どうして俺に告白してくれたの?」
「えっ?そうだなぁ…この高校に入ってから、和真くんとも何回か話したことあるでしょ?その時に話してて一番楽しいって感じたのは和真くんだけだったんだよね。」
「へぇ〜美奈っちそんな風に思ってたんだ。なんか以外〜」
嘘告してきたから、下手に理由なんて考えてないだろ…と思っていたけど、以外にも簡単に答えられてしまった。もう少し悩んでほしかったなぁ…
必要以上に問い詰めたりする必要はないから、もし追及が激しくなりそうだったら他の話題にそらそうと思っていたのに…努力が無駄になってしまった。
「まぁ嬉しかったから良いんだけどさ。」
「おめでと〜私としても今の和真くんだったら信用できるかな。」
「昔の俺は信用できなかったってことかな?」
「気分を悪くしたならごめんね?ただ、正直な所昔の和真くんは何というか…雰囲気がお世辞にも良いとは思えなくてさ。もしかしたら何か弱みでも握られてるんじゃないかって思ってね。」
「ふふっ…片岡さんって面白い人だね。弱みを握って脅すって漫画や小説の世界じゃないんだからさ。そんな事をした所で、都合よく動いてくれるわけ無いじゃん。」
思わず笑ってしまった。
弱みを握っているという点では確かにそうかも知れない。少し確信をついている事に驚きつつも、俺は冷静に返した。
「あはは…ありがと‼ねぇ気になったんだけど、美奈っちのどんな所が好きなの?付き合ったって事は、好きな所があるんでしょ?」
「勿論。そもそも好きでもない人と付き合ったりしないだろ?」
「それもそうだよね‼」
「そうだな…彼女の好きな所は、優しいところだな。こう言ってしまうと何も考えてないように思われるだろうから、補足説明をするね。俺が特に好きなのは誰にも分け隔てなく接してるところだよ。」
「やっぱり美奈っちは優しいからね〜そこに惹かれたんだね。」
「まぁそうですね。」
実際、彼女は誰にも分け隔てなく接していた。
俺が男子の誰とも関わりを持たず、いつも一人でいるのを彼女は良しとしなかった。
朝の時間にはあいさつや、課題の確認といった体で話しかけてきた。
俺以外の生徒にも沢山話しかけていたお陰か、彼女の人気は男女問わずうなぎのぼりだ。
そして眼の前の彼女達もとても人気が高い。それに何かと同性からも嫌われていない点は素直にすごいと思っていた。
それほどまでに彼女たちの信頼が厚いということなのだろう。
…ここで俺はふと思いついた。眼の前にいるこの女子たちが今まで積み上げてきた信頼を崩されたらどうなるんだろう?と…
勿論、普通ならそんなことはしない。
彼女たちは俺の事を良く思ってなかった。今は印象が変わったのかもしれないけど、俺の事を遊びの対象にしていた屈辱は忘れられない。
そこで俺は間接的に復讐をすることにした。
俺が直接手を下したりすることはなく、彼女たちにも辛い経験をしてもらおう‼
どういう風にするのかは決まっていない。
そんなことよりも、まずは彼女たちと良い関係を構築することを優先しよう。
上げて落とす…これが一番効くはずだ。
「っと…そろそろ始業式が始まる時間ですね。席についたほうが良いですよ。」
「あっ本当だ‼それじゃあまた後でゆっくり話を聞かせてね‼」
そう言って彼女たちは自分達の席に戻っていった。
作者の聖羅です!!
7話目をお読みくださりありがとうございます!!
次の投稿は本日の12:15になります‼
是非見に来てくださいね‼
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