第5話 心の内は…
藤沢美奈視点
「はい美奈の負け〜罰ゲーム決定‼」
「あ〜あ…最悪。負けたんだけど。」
私は罰ゲームという言葉を聞いて寒気がしていた。
高校生になってから、沢山のことを経験してきたがその中でも特別嫌な予感がしていた。
「そうだね…じゃあ罰ゲームだし、嘘告なんてどうよ。あんたの顔なら告白されて拒否する男子なんていないって。」
「私も賛成〜やっぱり罰ゲームだから本人の嫌がることをしないと意味ないよね‼」
「いや…えっ?本当に告白するの?」
「そうだよ?むしろこの流れで告白しないと思ってるの?」
彼女たちは友達だ。中には中学校からの友達さえいる。
そんな彼女たちとは今までも一緒に遊んだり、お泊りしたり…楽しい思い出を共有してきた。
だからだろう…私は彼女たちの提案をのむことにした。
「分かったよ。それで?結局私はどうすればいいの?」
「う〜ん嘘告とは言ったものの、だれをターゲットにすればいいと思う?」
「あっ‼一人適任がいるじゃん‼名前なんだっけ…赤羽和真だっけ?」
「あ〜あの暗い人ね。話しかけてもまともに返してくれなくて困るっていうか…」
私の記憶では、前髪で顔のほとんどを隠している男子だったはずだ。
話しかけてもちゃんと話を聞いてくれているのか分かりにくいって影で言われている男子だ。
かわいそうとは思わないし、正直彼のことは嫌いというわけじゃない。
他の私の中での嫌いな人に比べれば何も問題ない。
「よし‼対象も決まったことだし、細かい話をしよう‼」
「細かい話って言っても、美奈が手紙でもなんでも使って呼び出して告白すればいいじゃん。メッセージアプリとかだと反応がわからないじゃん。」
「あ〜それはあるかも。じゃあどこかに呼び出そう。美奈はどこが良いとか希望ってある?」
「いや…私は特にないけど。」
トントン拍子で決まってしまったが、仕方がない。私も腹を括ってささっと話をしてしまおう。
「あっそれと、嘘告から付き合う期間だけどどれくらいが良い?」
「う〜ん無難に一ヶ月とかはどう?」
「それだとなんか彼が可愛そうじゃない?もう少し伸ばしてあげたら?」
「たしかにそうだね‼じゃあ…三ヶ月?」
「それくらいなら良いかも‼あっあくまで私の意見だから、最終判断は美奈に任せるよ。まぁ三ヶ月が良いところじゃない?」
その後決まったことをまとめると、私は赤羽和真君に告白して最低3ヶ月は付き合うということになった。
その後は私が自由に判断していいと言うことになったらしい。つまり私が三ヶ月経ってなお付き合いたいと思える人であればそのまま付き合ってもいいということらしい。
「ただバレないようにしてね?夏休みとか挟むけど、数回遊びに誘ったりしてちゃんと付き合ってる感演出してよ‼」
「そうだよ〜それと無意識に避けたりとかしないでね?」
「分かってるわよ。ちゃんと三ヶ月の間は付き合うわよ。」
そしてこの話をしてから数日後…私は彼に告白した。
幸いにも彼はちょろかった。なんというか…私が言うのもあれだけど少し甘い言葉をかけただけで簡単に付き合ってくれることになった。
彼に告白した後、私と彼は結構な時間を一緒に過ごすようになった。
そして付き合い始めてから分かったことだが、意外と彼は優しかった。
私の事を常に気にかけてくれていたし、なにか私がするときも手伝ってくれた。
だからなのか…私は意外と彼の事が悪くないかもと思い始めていた。
それから数日後…私は友達に『放課後教室で話をしよ‼』と誘われ、友達と一緒に話をしていた。
「ねぇねぇ美奈っち〜あれからどんな感じなの?」
「えっとね……実は付き合う事になったんだ〜」
「まじで!?美奈っち悪い女だねぇ〜」
「でもまさか一時的にとはいえ、本当に付き合ってあげてるとはね〜」
「まぁ私は優しいからね。それに罰ゲームだからしょうがないよ。」
「キスとかは?そこら辺とかしたの?」
「するわけないじゃん。いい子だとは思うけど、そういう事をしたくはないかな。あくまで罰ゲームだからね。そういう行為はしないよ。」
付き合ってる以上、そういった行為をしないというのもどうかと思うけど、私としても好きな人としたい。
少なくとも罰ゲーム関連でそんな事はしたくない。
「まぁそうだよね〜私だって好きでもない子としたくはないもん。」
「だれでもそうでしょ。というか…実際どうなの彼?」
「どうなのってどういうこと?」
「彼とは上手くやれてるの?ってことだよ‼」
「あ〜そういうことね。まぁ上手くやれてるよ。途中までは帰り道も一緒だから一緒に帰ってるし。」
私はそんな事を言いながら彼女たちに続けて話しかけた。
「後は、一応話の相手になったりしてるかな。メッセージアプリだって登録したし。」
「私達も一応したよ。友達ってことで送ったら、すぐに承諾してくれてびっくりしちゃった。やっぱりちょろいのかもね。」
「騙されてる事に気づいてなさそうで良かったよね。というかネタばらしするの?」
「あ〜そこまでは決めてなかったね。まぁネタバラシは可愛そうだしやめとこ?」
「美奈がそういうんだったら言いんじゃない?本人に自覚がないとは言え、私達の遊びに付き合わせちゃってるしさ。」
そこからは他の話題になった。勉強のことだったり、テストのことだったり…今日も一日楽しく過ごすことができた。
そして私達は夏休みを迎えた。
作者の聖羅です!!
5話目をお読みくださりありがとうございます!!
今回の作品はどうでしたか?皆さんの貴重な意見を頂けると嬉しいです!!
⭐️やフォローをしていただけると作者が泣いて喜びます!!
次の投稿は本日の12:15になります‼
是非見に来てくださいね‼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます