第4話 注がれる視線は蜜の味?

今日からまた学校にいかなければならない。

学校に行くことに何処か抵抗感がある。そして今日も今日とてあの女に誘われているが、断固無視して俺は学校に向かった。


学校に向かう途中、視線を感じた。

視線は360度全方位から注がれているように感じる。

なんというか観察されているみたいだ。


「はぁ…佳奈の予想が当たったか。」


妹は学校に向かう途中で支線を感じるかもしれないと言っていた。いや、きっと確実に視線を感じるだろう。と言っていた。

周囲からの視線は悪意を感じる視線ではなく、どこか羨望や好意を感じる視線だった。


「まぁ良いや。悪意ある視線って感じじゃないし、特に気にしないでもいいだろ。」


俺は周囲からの視線に少し気疲れしつつ、学校へと向かった。






「…学校でも視線を感じるな。」


俺は他のクラスメイトが登校してくるであろう時間よりも早く、学校に来ていた。そうすれば余計な事に巻き込まれないと思ったからだ。


「…あっそういえば初日に提出しないといけない課題がまだ終わってないじゃないか。すぐにやらないと…」


俺は集中して課題に取り組んだ。前までは前髪で視界を遮られ、課題に取り組むスピードも遅かったが、今日は集中して取り組めている。


ふと視線を感じて顔を上げると、そこにはあの女…藤沢美奈が居た。


「えっと…転校生の人かな?そこは使ってる人いるから、他の所を使ってあげてほしいんだけど。」

「いや転校生じゃないし。君は俺の事を知ってるはずだよ。」

「えっ…そうなの?私の知り合いにこんなにイケメンな人居ないんだけど…」


この女…俺の事をからかってるのか?それとも…本当にわからないだけ?どっちなのか分からない。


「まって…もしかして和真くん?」

「そうだよ。酷いじゃないか。仮にも付き合ってるんだから分かるでしょ。」

「いやいや…えっ?本当に和真くんなの?」

「そうだよ。というかそうじゃなきゃここに座らないよ。」


俺がそう言うと改めてびっくりした顔をして俺の顔を二度見、三度見した。


「…なんかがらりと印象変わったね。」

「うん。仮にも美奈と付き合うことになったからさ。少しでも釣り合うようにしたくって…駄目だったかな?」

「いや違うの。責めてるわけじゃないし、駄目ってわけじゃないんだけど…印象変わりすぎて困惑してるっていうか…なんと言えば良いか…」


少し頬を赤らめながら話をしている彼女はやっぱり『天使』と称されるだけの美少女だった。あの時の告白されたときも正直顔が赤い気がするのは気のせいだろうか…


俺は少しの疑問を抱えながらも、彼女の顔を覗き込んだ。


「ひえっ…ちょっ近いよ‼」

「あっ…ごめん。でもこれで君と釣り合うかな?」


少し上目遣いを意識して彼女に話しかけると、彼女は更に頬を赤く染めて俺から顔をそらした。


「…釣り合うも何も付き合ってるんだし関係ないでしょ。そんな事気にしなくても良かったのに。」

「いや…俺みたいな陰キャじゃ、君には釣り合わないよ。だから最低限工夫するつもりだよ。これからもっと、君に釣り合うよう努力するよ‼」

「えっ…」

「もしかして駄目だった?」

「そうじゃない‼そうじゃなくてね…なんと言えばいいか…」


この女…予想はしていたが俺の事は好きじゃなかったようだ。

俺はもう少し反応を見ようと彼女の事を見ていたが、周囲からの視線を感じ俺は周囲に視線を向けた。


周囲からは混乱と羨望が容易に読み取れる視線を感じた。

その視線は俺と眼の前の彼女に向けられていた。


誰もこちらに話しかけたりはしてこないが、ずっとコソコソ話をしている。

大方、「あの二人って付き合ってるの?」とか「あの二人ってどういう関係?」みたいな感じだろう。


そうこうしていると、美奈と良く話をしている数人の女子がやってきた。


「ちょっとちょっと…美奈その人だれ?新しい彼氏?」

「違うよ‼和真くんだよ‼」

「えっ…様変わりしすぎじゃない?」

「はは…ありがとう。それはそうと、メールの反応遅れたりしててごめんね。ついつい夢中になっててさ…」


俺がそう切り出すと、彼女たちは『そう言えばそうだった‼』というような表情をして俺に話しかけてきた。


「そう言えばその事について話を聞こうと思ってたのよ‼どうして反応してくれなかったの?」

「自分を変えるために必死になってたら…ほとんどスマホを見ることがなくて。反応遅れたのは本当に申し訳ないと思ってるよ。」


実際、メールをすぐに返すことができなかったのは申し訳ないと思っている。

重要な連絡に対して返答がなければ、送った側としては心配だろう。


「へぇ〜まぁその顔を見れば納得がいくわ。随分とかっこいいじゃん。」

「そう?ありがとう。」

「いやいや…それよりもさ、そこの女捨てて私に乗り換えない?」

「ちょっと美樹‼何いってんの‼」

「冗談だって冗談。あんたの彼氏なのはしってるよ。まぁ…危険を冒してでも手に入入れたいものってあるじゃん?」


そう言った彼女の目は冗談ではなく、本気の目をしていた。

まるで彼女は獲物を見つけた獰猛な獣のようだった。








作者の聖羅です!!

4話目をお読みくださりありがとうございます!!

今回の作品はどうでしたか?皆さんの貴重な意見を頂けると嬉しいです!!

⭐️やフォローをしていただけると作者が泣いて喜びます!!


次の投稿は明日の7:15になります‼

是非見に来てくださいね‼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る