第3話 連絡は全て無視‼

「ここは…こうした方が良いかな。よし‼結構いい感じ‼」


俺は妹に簡単なメイクを施されていた。妹いわく、メイクをしている人は男でも意外と多いらしい。とはいえどれも簡単なものだと言っていたが…

それ以外にもいろいろなことを注意された。


「そうだね…後は、腕の毛とか足の毛とかは上手いこと処理したほうが良いかも。私を含めて、女の子は結構そういう所見てると思うよ。」

「そうなのか?」

「うん。その女の人がそういうのを気にしないんだったら別だけど、大多数の人は気にすると思うよ。例えばだけど、お兄ちゃんにとってすごく理想的な女性がいるとして、その女性が腕の毛や足の毛を処理してなかったら…どう思う?」

「別に普通じゃないか?まぁ言われてみればあまり女子は毛が生えていない気がするな。」

「でしょ?一概に同じとは言えないけど、それと同じようなことが言えると個人的には思うな。」


佳奈に説得されてやってみたものの…男でメイクをするのって少し変な感じがする。


「大丈夫だよ。お兄ちゃんはほぼ素でいい感じになってるから、することはほとんどないよ。正直私はやらなくてもいいと思っちゃった。」

「じゃあやらなくて良くない?」

「でも保湿とかはちゃんとしないとだよ?」

「まぁ確かに…クラスの男子も言ってた気がする。」


特にいわゆる一軍男子…かっこいい奴らは皆口を揃えて、『この保湿クリームが〜』とか『これは良い保湿成分が入ってて〜』みたいなことを言っていた気がする。


結局俺は佳奈にされるがまま状態だった。そしていつの間にか佳奈はとても満足げな表情で頷いていた。


「うん。お兄ちゃんいい感じだね‼これなら大抵の人は惚れるんじゃない?」


俺は自分の変化に驚いていた。確かに自分のことを変えようとは思ってはいたが…まさかここまで変わるとは自分でも思っていなかった。


「なんというか…自分じゃないみたいだな。」

「まぁ今までのお兄ちゃんを考えれば当然でしょ‼今までのお兄ちゃんは、前髪でほとんど全部隠れてたじゃん。というかニキビとかないの以外だった‼ちゃんとケアしてたんだね。」

「まぁな…なんというかニキビは人の印象を変えかねないってどこかで聞いた気がするから、それだけはちゃんとやっておいたんだ。」


その結果、いい感じになれているわけだが…やっぱり違和感は拭えない。

というか前髪で顔を隠してるのと、隠してないのではここまで印象が変わるものなのか…


「まぁお兄ちゃんこれから頑張ってね‼私はお兄ちゃんのやりたいことを応援してるよ‼」

「ありがとう。俺も自分のやるべきことをちゃんとやることにするよ。」


俺はそれから毎日、どうすればあの女をしにたくなるほど後悔させられるか考えた。

まずはあの女をどうにかして惚れさせる所から考えなければいけない。


あの女は周囲の人からは『天使』と称されている。ただ本性を知った今となっては他人のことを裏で嘲笑っている『悪魔』と称すのが正しいだろう。


あの女にとって一番ダメージになるもの…見下してた男に恋した挙げ句、その男に振られる。これは外せない。


そして他にもダメージを与えたい。あいつにとって、俺という存在がどういう風に変化するかが大切だ。

たとえ俺が頑張って変わったとしても、あの女からの印象が変わっていなければ意味がない。


そして夏休みが終わる前日まで時間がたった。俺はずっと考え続けた。


あの女は夏休みの間、ちょくちょく俺のことを遊びに誘ってきたが俺はそれに対して『今は忙しい』という一言だけを返して、基本的には無視を続けた。

変わったとしても夏休み中に会うのでは驚きも半減してしまうだろう。


「遊びに誘ってきたのは多分他のメンバーからの指示だな。それで俺のことを遊びに誘い出して、乗ってきたらそれを眺めて楽しむ。そして乗ってこなかったら…どうなるんだろ。」


一応は話をするということで、あの女の周囲にいる奴らからメッセージアプリのお誘いが来た。想像はしていたけど…


「やっぱりこっちにも来てやがった。本当に面倒くさいな…」


予想していた通り、周囲にいる奴らからもいろいろとメッセージが届いていた。

この夏休みの間、俺はスマホでメッセージのやり取りをするというより、自分のするべきことをしていたため、返信することができずにいた。


慌てて返信をするのではなく、俺は一呼吸おいて落ち着くことにした。


「こいつらが連絡してきたのは、俺が忙しいと返答して夏休みの間の楽しみを一つ潰したから…つまり、圧倒的な衝撃を与えてしまえばその事も忘れるはずだ。」


夏休み前と後では随分と変わっている。これを活かせばあいつらも『忙しい』と言ってた事に納得がいくはずだ。そうすれば下手になにか仕掛けてくることはなくなるはず…


俺はそんな事を考えながら夏休みの終わりを迎えた。






作者の聖羅です!!

3話目をお読みくださりありがとうございます!!

今回の作品はどうでしたか?皆さんの貴重な意見を頂けると嬉しいです!!

⭐️やフォローをしていただけると作者が泣いて喜びます!!


次の投稿は本日の12:15になります‼

是非見に来てくださいね‼

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る