罰と後悔

 俺はフェルスと共に何度か行った謁見の間に向かっている。

「分かった、分かった」

「とりあえず、大人しくしろ!!」

「…」

 沈黙が到着するまで続く。

 捕まった俺と拘束するフェルス。それを見守る商人と国民。

 見守られるのは恥ずかしい……


 到着をして王と会うのである。

「やっと、会えたなあ。青葱静あおぎせい!!」怒った口調、怒った顔を示してくる王。

「ええ、まぁ……」

「何で怖がっている。まあいいか。とりあえず、これを付けろ」

 それは奴隷が付けるための呪具の首輪だ。

 一回付けたら、主人以外は外せないようだ。

 まあ仕方ないだろう。これが罰なのだからな。

「ガチっ」付ける音がしただけで何もないようだ。首輪のところには何も見えないようだ。だが、存在感だけはある。

「さて、本題だ。といきたいが、その犬はなんだ」

 指を示す方向にチェマクが居た。

「さあ、何でしょうね……」誤魔化しておこう。後で謝っておくか。

「まあ、犬には興味もない。汝、その犬を外に出してこい」

「御意。陛下」

 柴犬を抱えるように持ち上げて出て行った。

「ガルルルルル…ガルルルルル……」中にまで響く威嚇。それは、遠くなっていく。

「本題にいるとしよう」

 本題とは何だ?もしかして、俺が指示を聞かなかったからなのか?それとも……。

「お前らは我がここに連れてきた。魔王を倒すためにな」

「ええ、まあ知っています」

 分かって当然のことだ。召喚された当日に言われたのだからな。

「魔王が動き出した」

「動き出した?」将棋の王将ではあるまいし……偵察部隊とか小規模な兵だけで攻めるとかがあっただろうに。

「ああ、彼らは獣国ティラバシに向かっているようだ」

「それはどこからの情報だ?王」

「我には偵察隊がいる。少数だがな」

「なるほど。それは信じていいのか?」

「信じるかどうかは青葱静、お前が決めろ」

 なるほど。これは慎重に動かないといけないのかもしれない。

「その首輪は1週間後に外してやろう。では帰るがよい」謁見の間の外側にいた門番が開けて待機していた。

「では、失礼する」

 これでやらないといけないことは終わったのか?

 まあいいか、またあの場所でも行こうか。

 廊下、街を歩くこと数分、門前にチェマクが待っていた。


「嘘をついてすまない」チェマクの目の前でお辞儀をした。

「ふん。構わぬ。我を思ってのことだろう」

 お見通しか……まあ、許してもらえるとは思わなかったが、よかったよかった。

「さて、片付けるとするか!」

「ああ」


 

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