人探し
「なんでそうホイホイと拾ってくるんですか?確か、二年前も女の子を拾ってきましたよね?うちには金銭的な余裕なんてないので拾ってこないでくださいって言いましたよね?」
「はい……」
「しかも、今回に関しては何ですか。明らかに向こうの方がお金をもっていますよ。明らかに助けてなんて要らない方の人間でしょう」
「そ、それでも困っていそうだっただから……」
「私たちも困っているのですが」
スラムの荒くれ者に絡まれていた修道服に身を包んだ女性。
それを拾って家にまで連れてきた僕は今、レーヌからお𠮟りを受けてしまっていた。
「あの……すみません。いきなり押しかけてしまって」
僕がレーヌから正座させられているような中、おずおずとした態度で修道服に身を包んだ女性が口を開く。
「確かに私はお金に困っているわけではありませんが、別件では困っておりまして……これは、ほんのお礼として受け取っていただければ」
そして、僕たちにお金がないと判断した修道服に身を包んだ女性は懐から金貨を一枚取り出しながら口を開く。
「お金で靡くとでも?」
「わぁー、お金だ」
「恥ずかしいので辞めて?」
「……はい」
お金へと強く反応した僕はレーヌに窘められてしまう。
「いえ、受け取ってください。一度出したお金を引っ込めることはできませんから。それよりも、出来れば私に力を貸してほしいのです」
「わーい」
受け取ってくれ。
修道服に身を包んだ女性がそう告げると共に僕は彼女が差し出した金貨を回収する。
「……私たちはスラムで育って二人です。何が出来ると?」
「いえ、少し……聞きたいことがあるだけです」
「ほう……なんでしょうか?」
「今より十年くらい前の話です。太陽神様のご威光の一部をお使いになれたら選ばれし御子が観測されました……それが、ここのスラムにいる。その情報を掴んで私はやってきたのですが、思いつくような人物はいるでしょうか?」
「知っている?そんな人」
「いや、知らないなぁ?」
そんな御大層な人、僕にはまるで思い至る節がなかった。
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