助け

 僕がいつもの通り、特に意味もなくスラムをぶらぶらと歩いていたところ。


「ど、どうすればよいのでしょうか!?」


「そんなもの決まっているだろうがぁ!ねぇちゃんよぉ。大人しく俺らの命令を聞くんだよよぉ」


「けけけ!まぁ、そうだぜ!一人でこんな危ないところに来た自分が悪かったってことでさ。諦めてその神に捧げし処女を散らせやっ!」


「ぐふふ、おで、女抱きたくない」


「なら、そこでお前は大人しく見ているんや」


「おで、……今日生きる金だけ、出させる。それで良くない?」


「良いわけねぇだろぉ!でくの坊は黙っておくんだな!どうせ、お前のデカいのはすぐに女を壊して話にならねぇ!元からやらせる気ないよ!」


 遠くの方から何か、物騒な会話が聞こえてくる。

 割と近そうだな。ちょっくら行ってくるか。


「何をしているの?」


 僕は特に深いことも考えることなく、絡まれている女性とそれに絡んでいるスラムの荒くれ者たちへと近づいて声をかける。


「げ、げっ!?お、お前はレーヌのところの兄っ!?」


「や、やべぇ!ずらかるぞ!」


「くそっ!良い女だったのいぃ!」


「死んだら元も子もないだろうがぁ!」


「お、おで!?もういやぁァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 すると、一目散に女性の方に絡んでいた荒くれものたちは逃げ出していく……レーヌの名前が出ていたけど、あの子が何かをしたのかな?


「ありゃりゃ。僕ってばそんなに嫌われることしたかな?」


 それを見て僕は首をかしげる。

 僕は彼らに恐れられるようなことをした記憶はないが、彼らの反応はなんであろうか?」


「まぁ、あいつらは金ないだろうしいいだろう」


 女性を襲おうとするクズなんて何をされても文句は言えないあろう……だけど、彼らにはわざわざこちら側から何かをするまでの価値がない。

 放置でもまぁ、良いだろう。


「それで?貴方は大丈夫だった?」


 荒くれた者たちのことを思考の外にはじき出した僕は絡まれていた女性の方に視線を向けるのだった。

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