月と太陽
僕の背中に何故か生えている真っ白な両翼。
「堕天せよっ」
そのうちの片翼が黒く染まり、ゆっくりと堕ちていく。
「なっ!?な、なんと……何と冒涜的なッ!!!主たる力を汚すかっ!」
なぁーんで、オウガストくんはこんなにも激昂しているのだろうか?
疑問を抱きながらも、僕は勝負を終わらせるために淡々と次なる一手のための準備を進めていく。
「許されぬぞっ!」
激昂したオウガストくんはその怒りのままに僕の方へと近寄ってくる。
だが、既にもうあまりにも遅かった。
「月よ、輝け」
僕の左手の平。
そこに一つの蒼い球が浮かび上がり、それをオウガストくんの方に向けるだけで彼の身体が大きく吹き飛ばされていく。
「太陽よ、輝け」
今度は別。僕の右手の平。
そこに一つの紅き球が浮かび上がり、それをオウガストくんの方に向けると今度は彼の身体を大きく引き寄せていく。
「ま、待て……どういうことだ」
僕は紅き球を自分の手の平の上から話し、空高くにまでも持ち上げていく。
「うぉっ!?」
それに伴ってオウガストくんの身体も一緒に動いていく。
「月よ」
次に動かすのは月。
ちょうど太陽の下に持っていき、そのまま静かに近づいていく。
「どういうことだァァァううぎゃァァァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!?」
月と太陽。
太陽は対象を引き寄せる性質を、月は対象を弾き飛ばす性質を持つ。
これらの性質を組み合わせればとある一つのことが可能となる。
「ぐ、が、ぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!?」
太陽の方に引き付けられ、更に月の力で押し込まれるオウガスト君の身体が悲鳴を上げ、その肉と骨が潰れていく。
「ァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
オウガストくんの悲鳴が夜空の中に響き、地の果てにまで落ちていく。
そして、しばらくもすればオウガストくんの
「うん、普通にあまり意味なかったな」
太陽に押しつぶされる形でただの肉塊になってしまったオウガストくんを前に、僕は今、自分の使った技の構成を反省するのだった。
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