対応
突如としてアーベント王国の王城を襲い、多くの被害を出した化け物による被害。
この事態を引き起こしたのは正教として世界の多くに受け入れられているアイトリア教の過激派が齎した災いであるということは既に判明している。
これを受け、既にアーベント王国はアイトリア教を非難する声明を発表。
既にアイトリア教が詫びの気持ちを示すことが決定している。
「……はぁー」
王城を襲った化け物たちについては簡単に解決した。
だが、この事態を終結にまで大きく向かわせた人物であるエステリーナの処遇をどうするかについては大きな議論になった。
元第一王女ではあるが、既に呪いを理由として幽閉済み。
もういない者として扱っているのだ。
「元の、位置に戻れたのは良いことだけどね」
そんな人物をどう扱うかは非常に揉めることになった。
だが、最終的にエステリーナに助けられた騎士たちの強い支持と彼女の雄姿を街から見ていた民衆たちの期待もあって元の地位に戻ることとなった。
これで、一度は完全に第一王女としての地位をはく奪されていたエステリーナは元の位置に戻ることとなった。
「……それでも、大変すぎるわ」
そのあとのエステリーナは大変だった。
一度は完全に解体されていた彼女の派閥が再度、出来上がることになるのだから。
彼女の元には、元々同じ派閥だった貴族から新しく関係を持とうと近づいてきた貴族まで。
多くの人が押し寄せることになった。
「……今更、美しいなんて言われても嬉しくともなんともないわよ」
その中で、エステリーナは自身の持つ美貌について褒められた。
だが、その褒め言葉は彼女を逆なでするだけである。
呪いがあったときには
黒い痣があったとしても、本来の私を見て褒めてくれたあの人だけが、自分にとって特別なのだ。
「……今、あの人はどこに。明日は、明日こそは会えるよね?」
どれだけ自分の元に多くの人が来ようとも、エステリーナが思うのはただ一人の少年だけである。
「ノーラ」
エステリーナは一人、自分の部屋で項垂れながら己の運命の相手である彼の名前を口にする。
「……んっ?」
そんな彼女の元に、彼女の耳に、綺麗なピアノの音が届いてくる。
「なにかしら」
その音源は自室の部屋のバルコニーで間違いないだろう。
「美しい音ね」
荒んでいた彼女の心にも染みわたる美しい音色に感嘆するエステリーナはゆっくりとバルコニーに出るための扉を開ける。
すると共に、風に吹かれて彼女の部屋の中へと幾重もの黒い羽が舞い込んでくる。
そして───
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