先生の迷言
「お前たちは人間として俺に勝てる事なんて一つもない!」
……これはうちの担任が残した迷言です。
本当にこんな事を何度も言っていたのです。そして担任曰くその根拠は、自分は社会を経験しているから、との事。
担任に限らずうちの学校の先生は、社会に出た事が大きなステイタスと考えていたようなのです。
確かに社会に出て積んだ経験は人を成長させますけど……こんな風に上から目線で、俺の方が人間的に上と言われても、説得力はありませんでしたね。
しかしそんな先生達でも、たまには生徒を誉めることがありました。
ただ、その誉め方というのが……。
「お前達は大学生なんかよりよほど意識が高い」
「大学生なんて、ぬるま湯につかってるような連中だ。社会に出たら家で鍛えられたお前たちの方が活躍できるんだからな」
「お前達はよくやってる。大学生なんて見ろ、勉強してるなんて言っても、遊びの片手間でやってるだけじゃないか」
等々。
…………これをお読みの大学生の皆さん、大学出の方々、ごめんなさい!
これらは自分が言ったわけじゃありません。専門学校時代の担任が言っていたのです!
担任はまるで大学に恨みでもあるのかと思うくらい事ある毎に、大学はダメだ、うちの方が優れていると言っていたのです。
もちろん生徒はこんな言葉を鵜吞みにしませんでした。むしろ大学生に失礼だ、関係ない大学まで巻き込むなと、否定的でしたね。
どうしてこんなにも大学のことを悪く言っていたのか、理由は全くもって分かりません。もしかしたら本当に大学に何かしらの恨みや妬みがあったのかもしれませんし、自分の学校の方が優れていると思いたくて、大学を蔑むような発言をしていたのかもしれません。
どっちにしろ、大学にとっては失礼な話ですし、こんな形で褒められた生徒もちっともうれしくありません。
こうして先生は日に日に迷言……いえ、問題発言を増やしていきました。
こんなの覚えていたって何の得にもならないのでさっさと忘れてしまいたいですけど、嫌な思い出って、なかなか忘れられないものですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます