決着
天使はただのサンドバックであった。
その体は固い結界に守られている以外には何もなく、結界が壊れた後はただただ白い光線を放ってくるだけ。
それ以外のことをすることはなく、ただただ僕の魔法を食らうだけ。
まさにサンドバックである。
「……はぁー」
だが、この天使はどこまでも厄介だった。
この存在がなんであるか、それを探るために行っていた僕の魔法がようやく花開いた。解析にある程度成功した。
「最悪」
そして、その結果は最悪だった。
こいつは信仰心を持つものの魔力を巣食らう怪物。
聖都にいたすべての人間の生命力までもを魔力に変えて顕現しているのが天使だ。
「……まぁ、死ぬか」
まだ、ここまでならいい。
だが、ここからが最悪だ。
この天使は薄い膜をまとって魔力を閉じこめ、その存在を維持し続けている。
そして、その膜を打ち破れば爆発。
天使の体から大量の魔力があふれてこの場一体に魔力の爆発が吹き荒れ、確実に僕は死ぬだろう。
別の手として、光線を打つことによる相手の魔力が減ることの狙い撃ちもなくはないが、それでも絶望的だろう。
最低でも数百年はかかりそうだ。
「遠くからのスナイプ……は、威力が足らないだろうなぁ。ほかに何かあるだろうか?魔法以外の遠隔攻撃はさすがに無理。こいつを封印する。いや、このバカでかいのを封印するのはさすがに無理だろうな。魔力を吸い取る魔法……どこかで聞いたことはある、あるがさすがに望み薄だ」
僕は策を浮かべたは消して。
何の進捗も進展もなく苦笑し、魔法を発動。
この場全体を覆うような結界を作り上げる。
爆発による影響が周りへと致命的なまでに膨れ上がらないようにするため。
「……己が死ぬ」
もう天使は爆発寸前。
次に僕が天使へと攻撃を加えれば確実に僕は死ぬことになるだろう。
それで、どうするか。
「……まぁ、いいか」
悩むほどのことでもない。
僕は何も迷うことなく魔法を起動させるのだった。
「ゼーアさまぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!」
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