血
当主になってから早いことでもう四年。
ここに来るまで色々と大変なことが多かったが、それでも何とかここまで成長することが出来ていた。
そして、十二歳となった今日。
僕の屋敷には自分の推しであるノービアたんとその護衛としてペークシスの二人がやってきていた。
「お前、僕の愛人になってくれない?」
そんな二人を応接室で招き入れ、何故かノービアたんとレイシアの二人が意気投合している中で、僕はペークシスへと言葉を投げかける。
「……はへっ?」
「「……はっ?」」
僕は呆然しているペークシスへと言葉を続ける。
「十二歳まではほとんど領地から動かないし、自分の身の上に関してもガチガチに対策出来るけどさ、学園に入学してからはそういうわけにはいかないじゃん?」
キーリア王国には十二歳となった貴族の子女が通うことを強制されているオーリア学園があるのだ。
そこに通うとなると……色々なイベントもそこで起きるし、流石に自分の血を引くものがゼロ人というのは流石に不味い。
ということで、学園に通うよりも前に子作りをしておかなければならないのだ。
「僕の子供……考えておかないとなぁ、って思って」
「い、いや……それは、そうかもしれないが。なんで?私っ!?」
そんな思惑でもって告げた僕の言葉に対して、ペークシスは困惑の言葉を浮かべる。
「僕の知り合いの中で一番の適任がお前だったから」
「えぇぇぇぇぇぇえええええええ?!」
「それに、ペークシスとて利のない話じゃないと思うのだが。自分と交流を深めるのも悪くはないだろう?互いの利として」
僕はレイシアを預かっている立場で、年々保有する武力を高めている立場なのだ。
ペークシスとしても、僕との交流を深めるのはそこまで悪くない手だと思ったのだだが……。
「そ、そういうことは好きな人とじゃないとぉ」
返ってきたペークシスの答えは随分とピュアだった。
「……かなり良い手であると思ったのだが。別に僕はペークシスのこと普通に好きだし、ペークシスだって、僕のこと別に嫌いじゃないだろう?」
十二歳でまだ体の発達がイマイチで性欲もあまり強くなく、色恋沙汰に心を割けるほど僕の心に余裕があるわけでもないのだが……それが必要であるというのなら僕はやるだろう。
「……いや、これは悪かったね。あまりにも思考回路が当主に寄り過ぎていた。子供を作るという行為の理由を愛ではなく必要とするのは」
だけど、この価値観をペークシスに押し付けるのは悪かったな。
まさか、彼女が性行為は好きな人とじゃないと!なんていうピュアな乙女の考えに寄っているとは思わなかった……。
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