仕事
皇太子成人記念式典が終わった後、僕を待っていたのは過労の日々であった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!?死ぬるっ!」
式典を終え、王都の方から領地にまで帰ってきた僕はあまりの仕事の多さに過労死寸前であった。
「お疲れ様です。ゼーア様」
「あぁ……うん、ありがとう」
そんな僕の秘書兼メイドとして、支えてくれているレイシアが労いの言葉と共に淹れた紅茶を置いてくれる。
ちなみに彼女の処遇についてだが、行方不明者として処理することになった。
今の彼女はその素顔を隠した状態で僕の秘書をやっている。
それで、ペークシスは仕事の合間を縫って会いに来ることになった。ちなみに今はもう教国の方に帰っている。
「……はぁー」
僕は紅茶をすすりながら深々とため息を吐く……本当に、大変だ。
領主不在の五年間。
そして、うちの家臣団がこれまで子飼いの状態になって犯罪組織との縁を切るために使った労力。
それは結果として、非常に多くの仕事を僕に残す羽目になっていた。
「……護国の剣の方もなぁ。リスクと言えばリスクなんだよなぁ」
アウトーレ侯爵家傘下の犯罪組織、護国の剣は既に裏世界の方で名前を轟かせすぎていた。
何らかのテコ入れは必要となってくるだろう。
「……そこまで考えていると、問題が大きすぎて頭を抱えることしか出来ない」
通常の業務でさえも死にそうというのに、護国の剣でもテコ入れしなければならないのだ。もう普通に泣きそうである。
「……他の貴族との交流もあるしなぁ」
ついでに言うと、まだまだ全然別の仕事の方も残っているのだ。
「僕の婚約者をどうするのかという問題もあるんだよなぁ……うちの直系の子供がいなさ過ぎてマジでヤバい。早く子供作らないといけないのに」
「……ッ」
頭が痛い。
当主が八歳児の家に婚約者として来てくれる侯爵家夫人に相応しい女の子なんて中々いないし。
どこまでも頭が痛い。
「……愛人、なども取ることになるのでしょうか?」
「ん?あぁ、なるんじゃない?出来るだけ子供欲しいしぃ、ということを考えると更に面倒なことに……」
僕はレイシアの言葉に頷く。
愛人前提であるということも僕の婚約者への意欲を見せてくれる人の減少に寄与している。何て面倒なんだ。
本当に頭が痛い。
「ふふっ」
「もう、ペークシスにでも頼んでみようかな?ちょうど婚約者もいない、男っ気もない、子供も産める健康体」
「……んっ?」
頭を悩ませる僕は一つの人物へと覆い至る。
「あれ……?なんか、行ける気がした。今からでも作れるし……割とありな気もしたきたぞ?」
自分との交友も深い。
見た目もかなり良く、安産型……あれ?よくよく考えて見ればペークシスこそが僕の愛人として最適と言えるような相手なのでは?
「は?」
「ん?」
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