寄生
家に帰ろう。
あまり考えすぎない方がいいこともある。
そしてパパとママに言わなくちゃ。
校長先生にも言うんだ。
全部全部。
僕は決心した。
自分が遭ったことを全て話す。
前を見なくちゃ。
きっと神様が見てくれてたんだ(たとえ違くとも僕にはそう思えた)
今日は帰ってゆっくり休もう。
家へ向かって歩くが、何か妙な寒気がする。
視線を感じるんだ。
しかもけっこう前から。
気のせいかと思ったけど、今の僕にはわかる。
誰かが僕のことを見ている!
ずっと見ている。
周りを見渡しても変な人はいないが、誰かが見ている。
絶対に見ている。
視ている。
それも、二つ感じる。
家に着いたそのとき、目の前が真っ暗になった。
瞬きと一緒だった。
そのくらい一瞬だった。
やだやだやだやだ。
嫌な予感がした。
目隠しをされて、口を手で覆われている。
こいつが誰なのか頭の中で考えたが、、、。
声が出せない。
玄関のドアを閉め、鍵を掛けた。
こわいこわいこわいこわい怖い怖い怖い。
そいつは僕の着ている服を全て脱がした(目隠しと靴下以外全て)。
手足をリビングの椅子に縛りつけた。
耳元でそいつが言う
「なんでこなくなっちゃったの?」そこにいる人は田中先生だった。
僕はあの時のことを思い出した。
あのときだ。
プールの時だ。
終業式の日だ。
その日の夜だ。
二度と思い出したくないのに一度も忘れられない。
多くのことは覚えていない。
だが、あの日の帰り道、深い絶望と不快な口の感触が僕にトラウマとして植え付けられたのは、思い出したくないが、鮮明に思い出せる。
田中先生は全裸の僕を見つめながら汚い息遣いで話す。
僕はこんなに耳が遠かっただろうか。
「先生は男の子と女の子が好き」だとか、
「パンツのじけんは先生がやったんだ」とか、
「ほかにもいろいろけいかくしていたが、といれのことがきっかけだった」とか。
ずっとつけていたのだ。
家にいる時も、外に出た時も、ずっとつけていたのだ。
もう終わりだ。
自分が壊れてしまった。
もう誰かとお話しすることなんてできないんだろう。
終わりなんだ。
考えても無駄だ。
きっと先生は僕のこと殺しちゃったりするんだろう。
散々ぐちゃぐちゃにされた後にだ。
そんな時だった。
「」
先生の気配が消えた。
諦めかけていたが助けを呼べるかもしれない。
自力で脱出できるかもしれない。
自然と目隠しが取れる。
目の前には、ヘラジカがいた。
いや、あの 『神』 がそこにはいた。
家の中で異彩を放ち、そこに佇んでいた。
先生は、、、白目をむいて倒れていた。
助かった。
助かった。
助かった。
助かった。
助かった。
助かった。
まるで漫画の世界。
何が起きたかよくわからなかった。
先生から解放された安心感と、そこにいる者の恐怖がそこにはあった。
手足の縄を切ってくれた。
話は通じるのだろうか。
目は合わせても良いのだろうかあああああああああああああ。
衣ふくをキて、死体をカタズケ、父とははが帰ってきた。ーーーーーー「おとうさん、おかえり!」「おかあさん、おかえり!」
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