故郷

 

   誰に動かされてまた今日を駆け抜ける


   黒いスーツを着た働きあり


  今日も陰湿だ。


  陽気な大気を溶かすオーラだ


  うずくまった僕を吹雪のような風が責め立てる


    革靴の乾いた音は無数にこだまする


  迷路のような人掻き分けて


     何かに憑かれた僕は歩く


   改札は僕を通さないだろうか

    

      切符でどこに行くだろうか


路上に彷徨う僕はどこへいくだろうか


    歌なんて役に立たないと睨み


    陰は陽に隠れていると叫ぶ


    余裕はとうに沈んだと目をつむる


   美しい風景なんて描いても意味がない


     まぶたの裏はただの闇だ


     くたばっちまえ


     くたばっちまえ


  僕は帰るんだ忘れ去ったガラクタの故郷に


      くたばっちまえ


      くたばっちまえ


    夜の星は苦しみの天の川を魅せる


    朝はどこまでも僕を呼ぶ

   

  僕がくたばり果てるまで穏やかな陽は昇る


    線路が音をたてる頃


    鳥が空を渡る頃


    生活が平穏を取り戻す頃


    俺は退屈な故郷に帰る


      

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