慇懃と虚構

青色 モヨウ

  慇懃と虚構

   

    木目をゆるやかになぞる


    小さなデスクに涙腺は熱をはらむ


    まるで響かない腐れ海馬に


    掻きむしるように胸を焦がされる


    時間はとうに私を突き放した


    あの日なんて追わなければ

 

   今も幸せな花が隣に座っていただろうか


     木目をなぞっても


     木目を濡らしても

   

     流れてくれない哀愁が


    憂鬱な今日を塗り穿つ槍となる


    全ては穏やかな教室


    全ては青い春の泡沫の輝き


    木目を見つめだした夏の節


    好きだったあの子の後ろ髪も


    嫌いだったあいつの強情も


   まるで許せそうな季節になりました


     今は静かな光に打たれ


     小さな小窓から流れる


    海風に吹かれていましょう


    




      

  

      

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