第9話 水晶玉で種族調査
「さて、なにからしようかなぁ。」
「海里くん家綺麗だねぇ。ちゃんと掃除してある。俺等も見習わなきゃ。」
元々の用件は俺を雇うということで結論が出たと思うんだけど、有言実行は大事だからね、とのことです。
「いや、だってさ?海里くんは力を制御しないと仕事もできないからさ?それをまず出来るようにしなきゃだから。」
「それはまじですみません…」
「別に謝んなくてもいいよー。誰もがみんな通る道だからね。」
「そうなんですか?」
てっきり本能的にできるものだと思ってた。
「半妖は人と
「薄々思ってたんですけど、河守さんって妖なんですか?」
薄々というかもう確実だけど。
「あれ?言ってなかったっけ。俺は鬼の半妖。
「あの猫も半妖なんですか…」
「そうだよ。俺の弟。あ、そうそう。俺のことは河守さんじゃなくて
「河―紅輝さんと、珀さん?と、あと一人は会ったこと無いですよね?」
「うん。俺の妹で、珀の姉だね。いつか会えるだろうから、楽しみにしといてね。」
紅輝さんは弟妹のことを嬉しそうに話している。大好きなんだなぁとよく伝わる。
「あと他にもいるけど、今はこれくらいで。じゃあ今日の本題!制御の訓練をしまーす!」
「おぉー(パチパチパチ)」
「ちょっと棒読みじゃない?別にいいんだけど。」
そんなこと言われても。
「妖に連なるものは、少なからず妖力っていうものを持ってる。人でもたまに持ってる子はいるよ。その場合、呼び方が違うらしいけど。見た感じ、君は妖力高いほうだと思うよ。」
「そんなこと分かるんですか?」
「なんか知り合いが、妖力が高い人の子のほうが美味しいって言ってたから。君めちゃくちゃ狙われてたし、多分。」
こっわ。背筋ぞわぁってなったわ。
紅輝さんは俺の反応を見て笑っている。
「そんな知り合いいるんですね…」
「世間は広いからね。で、その妖力を自分の意志で出したり閉まったり…スイッチのオンオフと一緒のイメージで。これができたらあとは応用を頑張る。」
「応用ですか…」
「うん。これは個人によるから、俺からはなんとも言えないなぁ。頑張って自分で研究してね。凄いことができるようになるかもしれないし、ならないかもしれない。」
へぇー。なんか最近読んだラノベみたいでちょっとテンション上がるなぁ。
「じゃあ、妖力を意識するところから始めようか。この水晶に触ってね。」
どこから取り出したのか、手のひらに収まる程度の水晶玉が出てきた。
ほんとにどこから出したんだ、これ。
「触ると体中を巡ってる妖力の流れがわかるよ。その時に、なんの半妖かもわかる。まぁ、ある程度想像は付いてるけどね。だから多分物は壊れないと思う。」
「えっ」
「いやぁ、俺と妹のときは大変だったんだよねぇ。周りに影響を与える系のやつだったから。弟は違う意味で大変だったけど。海里くんのは、ちょっと広いとこでやれば大丈夫だと思う!」
いや、そんな笑顔で言われてもな…
渡された水晶玉を見る。うん。もうどうにでもなれ。
…じんわりと何かが体の中を駆け巡っているのを感じる。これが妖力ね。なんとなくわかった。
「やっぱり感覚を掴むのが早いねぇ。…もうちょっとかな。」
何が、と聞こうとしたその瞬間。
ベキッ――
鳴っちゃいけない音がした。しかも、俺の背中から。
バキッ――
えっ…痛くないんだけど。それはそれで怖くない?
「あ、あの!これってなんの音――」
「すぐに分かるさ。」
俺の言葉を遮って紅輝さんがそう言った瞬間。
メリッバキバキバキッ――バサリ。
バサリ?新種の音だ。こう、翼を広げたような…
「よし、もういいよ。これで海里くんがなんの半妖かは確定だね。」
「えっもう分かったんですか?」
「あれ?気づいてない?背中見てご覧よ。」
恐る恐る背中―というか後ろを見る。
背中には、黒い羽がついていた。
「…ええぇぇぇぇぇぇ!」
「あはは。反応面白いねぇ。…ともかく、君は烏天狗の半妖だね。これからよろしく!」
「えっ…はい、よろしくお願いいたします。」
…いや、この羽どうすんの!?
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