第2話 鳥居の先へ
結局俺は鳥居をくぐらずに帰っていた。だって怖いじゃん。その先に何があるか知らないのにさ。
「なぁ
「っ!聞きたい!」
「お前…普段怖い話とかに興味持たないのに…ちょっと嬉しいんだけど…」
「そんなこといいから…」
晴がにやにやしながら話してくれた続きはシンプルなものだった。
「鳥居の先に店があるって話はしたよな?その店は
「へぇ~…そんなもんが鳥居の先に…」
せっかく見えたのだ。行ってみよう。
晴の怖い話は(今回のは怖くないけど)いつも嘘だと思っていたから、本当の話が混ざっているなんて思わなかった。
この手の話で晴に感謝する日が来ようとは。ただ、唯一嫌だったのが…
「俺、もっと怖い話海里に教えてやるよ!せっかく興味持ってくれたし!」
と晴が目をきらきらさせていたことだった。お前、そんなに怖い話好きだったのか…ってか、今回はいいけど、怖い話が本物で幽霊とか実在してたら嫌なんですけど!?
1週間後。俺はあの時と同じ時間に、同じ路地に入った。
確かこの辺りだったはず…なんだけど…
「っ!…あった」
前に見たのと同じ竹林に囲まれた赤い鳥居が目の前にあった。この前よりも少し冷静らしく、周りの様子がちゃんと見える。
少し塗装が剥げている鳥居の奥に、上へ続く階段が見えた。
「…よし!」
気合を入れて階段を登る。登ってみて思うけど、この階段長くない?200段以上ある気がするんだけど?先が遠い…
普段ゲームに時間を費やす、というか体育以外であまり運動をしない俺にとってこの運動量は辛かった。俺って体力ないんだな…知ってたけど…足痛い…
階段を登り切ると、階段以外の全方向を竹林に囲まれた少し寂れた神社があった。夕暮れ時ということもあり、独特の雰囲気を醸し出している。
「確か5円を投げるんだったよな…?」
賽銭箱に5円を投げ入れ、一礼二拍手二礼する。初詣とかのお参りとは逆で、不思議な感じだ。何も願わずにすぐ礼をし、目を開ける。するとそこには―――
「…何も変わって無いじゃん」
やっぱり嘘だったのか。そう思いながら右を向くと―――
先程まであったはずのうっとおしいほどの竹林が開かれ、石畳の道に黒猫が座っていた。
「にゃーん」
なぜだかその猫に「こっちへ来い」と呼ばれた気がした。
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