第5話-洗濯機のお引越し1

次の日俺は梱包されて、あのお嬢さん宅へと運ばれた。

「置く場所までお持ちしますー!」

「助かります。宜しく頼みます。」

宅配業者とお嬢さんの会話が聞こえる。


ごと、ガタン。


どうにも段差の多い家の様で、上がったり下がったりと大変そうだ。俺は洗濯機の隙間から外の様子をコッソリと見た。


台所は今どき珍しい土間になっていた。

ああ、なるほど、敷居があるから揺れるのか。


茶の間は畳の部屋。六畳程畳で、ちゃぶ台があるだけ。その先には襖があり、その先も六畳程の床の間があるようだ。全ての襖や障子が開け放たれ、風を通しているようだった。小さいが、縁側と小さな庭も見てとれた。土間から見えるのはそこまでだったが、廊下もチラリと見えたのでまだ部屋があるのかもしれない。


俺は、台所の先にある風呂場の隣にある洗濯機置き場に据え置かれた。


「はい。ではこちらにサインを……」

声と足音が遠ざかっていく。


古びた住宅だ。現代のお嬢さんが好みそうにない。

俺にとっては馴染み深い家だ。暗闇の丸い頭をひょこりと出して、金色の光の玉のような目玉をパチパチと瞬く。キョロリと辺りを見回す。


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