第5話-洗濯機のお引越し1
次の日俺は梱包されて、あのお嬢さん宅へと運ばれた。
「置く場所までお持ちしますー!」
「助かります。宜しく頼みます。」
宅配業者とお嬢さんの会話が聞こえる。
ごと、ガタン。
どうにも段差の多い家の様で、上がったり下がったりと大変そうだ。俺は洗濯機の隙間から外の様子をコッソリと見た。
台所は今どき珍しい土間になっていた。
ああ、なるほど、敷居があるから揺れるのか。
茶の間は畳の部屋。六畳程畳で、ちゃぶ台があるだけ。その先には襖があり、その先も六畳程の床の間があるようだ。全ての襖や障子が開け放たれ、風を通しているようだった。小さいが、縁側と小さな庭も見てとれた。土間から見えるのはそこまでだったが、廊下もチラリと見えたのでまだ部屋があるのかもしれない。
俺は、台所の先にある風呂場の隣にある洗濯機置き場に据え置かれた。
「はい。ではこちらにサインを……」
声と足音が遠ざかっていく。
古びた住宅だ。現代のお嬢さんが好みそうにない。
俺にとっては馴染み深い家だ。暗闇の丸い頭をひょこりと出して、金色の光の玉のような目玉をパチパチと瞬く。キョロリと辺りを見回す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます