第3話-追放された魔物1
俺は本来、こことは違う世界で生きていた箱の魔物だった。
あちらにも人間はいて、そいつらは俺のような魔物をミミックと呼んだ。
一般的には宝箱の姿をして獲物を待ち構えているタイプの魔物だが、俺は他の個体と違いあちこち歩いて回るのが好きだった。
喰ったモノに化られると気付いてからは、人間の姿に化けて各地を旅し、喰ったモノに比例して力が増すため、あらゆる魔物に挑み喰らっていった。
喰っているうちに、食らった者のスキルや魔法、特性なんかも身についていった。
大好きな旅をして、強くなっていく自分を実感できるのは、とても楽しかった。
あるとき勇者と名乗る男に誘われて魔王討伐の旅に出た。勇者は魔王を倒すことができず、俺に全てを託して死んだのだった。
俺は勇者を喰って魔王を倒し、魔王も喰う事で、晴れてその世界で最強となった。
そこからは、魔王と名乗るモノが出てきたら勇者の姿を借りて魔王を討伐した。
勇者は、魔王を倒す事を条件に俺に喰われることを了承したのだ。瀕死の状態での口約束ではあったが、約束は約束だ。
もちろん倒した歴代魔王共もみな俺の腹に収まり糧となった。強くなりすぎた俺はその世界の神とやらに、今いる世界に追放されたのだった。
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